日本では生命保険をかけている方が約90%、つまり10人に1人は死亡保険や医療保険、学資保険等何かしら生命保険に加入していると言われております。
生命保険はその必要性を問われることが多く、「不要だ」と考える人も多い金融商品ですが、実際はほとんどの人が加入しているのが現状です。
なぜ日本国民のほとんどが民間の生命保険に入っているのかというと、やはり国の社会保障制度が十分とは言えないからです。
社会保障制度:日本国民皆が貧しいや裕福に限らず平等に過ごしていけるために作られたもの。
しかし、今や借金大国になってしまった日本ではそのようなことは言っておられず、多少の自助努力を国民に委ねている状態です。
それ故、長期的な入院を強いられたとき、事故や病気が原因で後遺症や障害が残ったとき、一家の大黒柱が万が一死亡したときなどに社会保障制度や自分たちの貯金では到底賄えないために生命保険に入っているのです。
本ページでは「社会保障があるから生命保険は必要ないという保険は本当か?」についてご紹介していきますね。
主に以下の3つについて解説し、本当に民間の生命保険に加入すべきかについて触れていきます。
- 「公的医療保険制度」
- 「公的介護保険制度」
- 「公的年金制度」
Contents
日本の公的保障制度
先述した通り現在日本には主に3つの公的保障、社会保障があります。
- 1つ目は病気や怪我等で病院に掛かった際に医療費負担を軽減してくれる「公的医療保険制度」
- 2つ目は将来介護施設を利用する事態となったとき、その介護費用の負担を軽減してくれる「公的介護保険制度」
- 3つ目は老後のための「公的年金制度」
公的医療保険制度とは
公的医療保険制度は別名国民皆保険とも呼ばれます。一般的に会社で勤務する人及び扶養家族は「健康保険」、自営業者やフリーター等は「国民健康保険(国保)」に加入しています。
- 健康保険:一般的に会社で勤務する人及び不要家族
- 国民健康保険(国保):自営業やフリーター
私たちは内科や耳鼻科、歯医者に行った際に治療費や診察料を払っていると思いますが、負担しているのは全額ではありません。
患者が負担する医療費は、以下のようになっています。
- 義務教育就学前は2割負担
- 義務教育就学後から69歳までは3割負担
- 70歳から74歳は2割負担(現役並み所得者は3割
- 75歳以上は1割負担(現役並み所得者は3割負担)
69歳までの大人は自己負担は3割となり、1万円掛かった医療費は3,000円、10万円なら3万円の自己負担で済みます。
69歳までの大人の医療費の自己負担は3割
また公的医療保険(以下健康保険)はそれ以外にも高額な医療費が掛かった時に負担を軽減する制度が設けられています。
健康保険の高額療養費制度
私達健康保険に加入している人達は3割負担で済むので医療費がよほど大きくならない限り、「払えなくて困る」ということはありません。
しかし重い病気や事故による重傷等で入院や手術等が必要となったとき、たとえ3割しか負担しなくて良いと言っても数十万以上の費用が掛かってしまうことも少なくありません。
そのような高額な医療費が掛かった時に適用されるのが高額療養費制度です。
高額療養費制度:1か月間に一定の限度額以上の自己負担が発生した場合に、限度額を超えた分についてはお金が返ってくるという制度で、これによって実質自己負担額には上限があります。
高額療養費制度による医療費の上限はその人の所得に応じて変わってきますが、年収数百万クラスの一般的な会社員の場合上限はおおよそ8万円+α程度と言われています。
下の表が所得及び保険種別に合わせた上限額です。
所得 | 上限額 |
---|---|
年収約1160万円以上 | 252,600円+(医療費-842,000円)×1% |
健康保険(月額83万以上) | |
国民健康保険(年収901万以上) | |
年収約770万円~約1160万円 | 167,400円+(医療費-558,000円)×1% |
健康保険(月額53万~83万未満) | |
国民健康保険(年収600万~901万以下) | |
年収約370万円~約770万円 | 80,100円+(医療費-267,000円)×1% |
健康保険(月額28万~53万未満) | |
国民健康保険(年収210万~600万以下) | |
年収約370万円未満 | 57,600円 |
健康保険(月額28万未満) | |
国民健康保険(年収210万以下) | |
住民税非課税 | 35,400円 |
例えば、30歳男性で月28~50万円の所得者が、1か月で医療費が100万円かかったとします。
高額療養費制度がなければ、自己負担は3割なので30万円となります。
制度を利用すれば、
80100円+(100万―26.7万円)×1%=87,430円
という計算式を基に実質の自己負担額は87,430円となります。
そして返ってくる金額は30万―87,430円=212,570円となります。
ただし返金の手続きには3~4か月かかります。
払えない場合は高額療養費貸付制度もある
高額療養費制度は実質医療費の上限が設けられていますが、あくまで払い戻しという形となっています。更に払い戻しには3~4カ月ほどかかります。
だとすると払えない場合、先に建て替えることが出来ない場合どうなるか?
あまり知られていませんが「高額療養費貸付制度」を利用すると「高額療養費制度」で戻ってくるお金の8割(国保の場合9割)を無利息で借りることが出来ます。
こちらも手続きが必要ですが、健康保険に加入していれば必ず利用することが出来ます。
また、たとえこれらの制度の存在を知らなくても病院に相談すれば病気や怪我は必ず直してくれます。
日本の医療福祉は世界一で「お金がない人を治療することはできない」と突っ返すような病院は通常ありません。
例えば交通事故等で病院に担ぎ込まれた人が、たとえ身元が分からない人(医療費が払えるかどうかわからない人)であってもしっかり治療するわけです。
健康保険で賄えない医療費
ここまで健康保険の保障内容について解説してきましたが、健康保険で賄うことが出来ない医療費も存在します。以下のものが健康保険で賄うことができない2つです。
- 差額ベッド代金
- 先進医療
健康保険では「入院の差額ベッド代」「先進医療」がカバーされていないため、民間の生命保険でここを重点的に抑えておくと良いでしょう。
差額ベッド代
まず「差額ベッド代」。
すぐに退院できるケガや病気であれば大部屋でもいいとは思うのですが、成人病や重大なケガや病気の場合、大部屋だと中々治療に専念できないと思われます。
大部屋だと休息しづらいという人も多いでしょう。
かと言って2人部屋や個室で入院しようとなると医療費プラスでお金がかかり、「差額ベッド代」は自己負担になります。
※病院の都合、医師の判断によって個室とする場合は差額ベッド代は掛かりません。
先進医療
次に「先進医療」と呼ばれる治療も全額自己負担になります。
近年医療技術も発達し、より高度な治療を受けられるようになりました。しかしそれを受けるためには高額な治療費が必要となります。
そもそも先進医療の基準は治療や手術を受けられた日において、厚生労働大臣が定める医療技術で、技術ごとに決められた適応症に対し施設基準に適合する医療機関にて行われるものに限ります。
また、先進医療を受けられる場所は限られているため、そこに行くまでの交通費も必要となってきます。
公的介護保険とは?
2点目は「公的介護保険制度」についてです。
制度の内容は以下のとおりです。
- 介護サービス費用が1割負担
- 福祉用具(車いす)などや住宅改修(バリアフリー)費用の支給
介護保険は40歳以上の全ての人がこの制度に加入する義務を負います。それ故、39歳以下の人たちはそもそもこの制度は使えません。
また、身体状態に応じて7段階の「要介護度」に分けられ支給限度額が定められており、要支援1~2、要介護1~5とそれぞれ異なります。
65歳未満は介護保険で賄えないことが多い
介護保険は40歳以上で加入対象となるため39歳以下の人は対象外となります。
また、40~64歳の人は特定疾病とされる末期がんや関節リウマチ、脳血管疾患という16種類どれかの難病に指定されないと制度は受けられません。
※特定疾病は次の16種類
筋萎縮性側索硬化症(ALS) 脳血管疾患 後縦靭帯骨化症 進行性核上性麻痺・大脳皮質基底核変性症およびパーキンソン病 骨折を伴う骨粗しょう症 閉塞性動脈硬化症 多系統萎縮症 慢性関節リウマチ 初老期における認知症
(アルツハイマー病等)慢性閉塞性肺疾患 脊髄小脳変性症 脊柱管狭窄症 糖尿病性神経障害・糖尿病性腎症および糖尿病性網膜症 両側の膝関節または股関節に著しい変形を伴う変形性関節症 早老症 末期がん 参考元:介護保険とは:厚生労働省HP
65歳以降の方は、介護を要する際に原因を問わず受けられます。
この制度は給付金が下りる訳ではなく介護に関するサービスが受けられるとイメージして頂いたほうが分かりやすいと思います。
それゆえ生活費や交通費などはもちろん自己負担になります。
以前では介護と言うと高齢者というイメージがあったのですが、今や高齢者に限らず、若い方や働き盛りの人たちも非常に多くなってきています。
その理由としては、医療技術の進歩で重たい病気やケガでも命は何とか繋ぎとめることができるようになったからだと言われており、それに伴って死亡者数が年々減少しているからです。
しかしこのような状態に陥ってしまうと、当然今まで通り働けなくなってしまい収入も減り、さらに一家の大黒柱であれば家族の生活なども養えない可能性もでてきます。
経済的な面や精神的な面でも自身や家族に多大な苦難を強いることになってしまいます。最近はやっとこの重大性に気づき、「生活保険」と言われる保険が多数の保険会社から販売されております。
アフラックさんのCMはとても分かりやすいと思います。
生活保険がどのような状態で受け取られるかをしっかり確認することが大切であるということです。
要件が国の公的保障(健康保険や介護保険等、公的年金等)と被っていたり、あまりにも重たい状態でないと給付金が下りないというのであればあまりかけてる意味がありません。
国の要件より状態は軽く、早い日数で受け取られる商品を選ぶといいでしょう。
公的年金制度の保障範囲
3つ目は公的年金制度についてです。
公的年金とは加入が義務付けられている年金。
- 会社員:厚生年金
- 自営業者やフリーター等:国民年金
年金は老後のための貯蓄、生活費というイメージが強いですが、実はそれ以外にも大きく2つの保障があります。
公的年金の障害年金
公的年金にしっかり加入していれば事故や病気等で障害を持った場合に障害年金として年金を受給することが出来ます。
障害年金は加入している年金の種別(厚生年金または国民年金)によって給付額が変わってきます。
自営業者等が加入する国民年金の場合、以下のように決まっています。(※平成28年4月分以降)
- 障害基礎年金(年額)
- 975,125円(障害等級1級)
- 780,100円(障害等級2級)
会社員が加入する厚生年金の場合は上記障害基礎年金に上乗せして障害厚生年金が支給されます。
障害厚生年金(年額)
- 【1級】
(報酬比例の年金額) × 1.25 + 〔配偶者の加給年金額(224,500円)〕 - 【2級】
(報酬比例の年金額) + 〔配偶者の加給年金額(224,500円)〕※ - 【3級】
(報酬比例の年金額) ※最低保障額 585,100円
が障害基礎年金に上乗せされて支給されます。
参考サイト:日本年金機構
障害年金サポートサービスで詳しく解説されていますが主に、1級は視力及び聴力、両上肢等の機能に著しい障害があり、他人の解除なしで身の回りのことができない程度。2級は身体の機能の障害等により、日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度(身の回りのことは出来るが日常生活が困難で、労働が出来ない程度)。3級は日常生活は出来るが、労働に著しい制限を受ける程度。とされています。
遺族年金もある
また老後の生活費や障害年金の他に、本人が死亡した場合残された家族を保障する遺族年金もあります。
遺族年金も障害年金と同様に年金の種別によって支給される金額が変わります。
- 国民年金:「遺族基礎年金」
- 厚生年金:「遺族厚生年金」
参考サイト:年金の受給(遺族年金)|日本年金機構
年金だけでは十分に保障されない
年金は老後のための以下3つの保障があります。
- 「老齢年金」
- 万が一障害者となった場合の「障害年金」
- 死亡時の「遺族年金」
しかしこれらはあくまで最低限の保障です。年金だけでは生活出来ないとよく耳にする「老齢年金」を代表例に、いずれも最低限の保障でしかありません。
例えば万が一の死亡時に支給される遺族年金ですが、奥さんと子ども一人で年額137万円ほど(月収30万円程度の場合)となっています。
これまで30万円の収入があったものが月額11万円ほどまで下がってしまうわけですから生活は苦しくなるでしょう。
だから多くの人が万が一に備えて生命保険に加入するわけです。
まとめ
簡単にではありますが、「社会保障制度と生命保険の必要性について」述べてきました。
医療制度や介護制度、年金制度はいずれも時代と共に段々変わっており、それと共に民間の生命保険変もわっていっております。
今や色んな保険会社があり「どれも似たようなもの」と思われがちですがそのようなことはありません。それぞれ以下のような条件が違います。
- 給付金を受け取れる条件
- 金額
- 特約等
面倒くさがらずに自分を守るために、自身に合った保険を見つけてほしいと思います。
すでに保険に入っている人は必ず何年かおきに見直しをして、今の自身に合った保険に変えていかなければなりません。万が一何か起こってからでは遅いのです。
また、これまで述べてきた社会保障を無視して保険の営業マンが勧めるままのプランに加入してはいけません。
生命保険に賢く、効率よく加入するためには自分で知識を付けて加入すべきプランを自分で設計するか、または信頼できる相談員(ファイナンシャルプランナー等)を見つけることが重要です。
「生命保険に加入したいけどどれがお得なのかわからない」
「保険料の負担がきついから解約しようか迷っている」
「自分にとって一番最適な保険に入りたい」
現在日本で加入できる生命保険会社は数十社にのぼり、各社それぞれたくさんのプランを提供しているため、一人で保険選びをするのは非常に難しいです。
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※保険の見直し一つで年間数万円以上の保険料が変わってくることもあります