2018年7月に販売が開始されたソニー生命の医療保険「メディカル・ベネフィット」と「メディカル・ベネフィット リターン」は、それまで販売されていた医療保険と比べてさまざまな改良がなされています。
また「メディカル・ベネフィット リターン」は所定の条件を満たすと保険料が戻る珍しいタイプの保険です。そのため加入するときは注意が必要です。
この記事ではメディカル・ベネフィットとメディカル・ベネフィット リターンの違いと加入するうえでの注意点、一般的な医療保険と違うメリットやデメリットについて解説します。
Contents
ソニー生命の医療保険の構成
2018年9月現在、ソニー生命のホームページを見ると医療保険については以下の3種類があるとされています。
- 総合医療保険(無配当)
- メディカル・ベネフィット(総合医療保険(無解約返戻金型)18 無配当)
- メディカル・ベネフィット リターン(健康還付給付金特則付総合医療保険(無解約返戻金型)18 無配当)
公式サイト:医療保険|ソニー生命
総合医療保険は1994年、メディカル・ベネフィットとメディカル・ベネフィット リターンは2018年7月に発売された商品です。
総合医療保険は一部の特約について販売停止となっていることから考えても、今後総合医療保険(無配当)は商品そのものが販売停止になる可能性があります。そのためこの記事ではメディカル・ベネフィットとメディカル・ベネフィット リターンについてのみ解説します。
また、メディカル・ベネフィットとメディカル・ベネフィット リターンは同じ保険です。メディカル・ベネフィット リターンはメディカル・ベネフィットに健康還付給付金特則をつけたものに過ぎません。
ただし、話を進めるうえでわかりにくくなるので、以下ではこれらの愛称を使用して説明します。なお両者の最も大きな違いですが、メディカル・ベネフィット リターンは一定の条件を満たすと保険料が戻るところです。まずはここまで理解してくださいね。
メディカル・ベネフィットの保障内容
ソニー生命の医療保険はパンフレットの解説がとてもわかりやすくできています。これをもとに、以下で主契約と特約・特則にわけて解説します。
公式サイト:メディカル・ベネフィット パンフレット|ソニー生命
なお主契約とはその保険に加入するうえで必須の保障で、特約や特則は選択できるものです。
特約は途中で外すことができますが、特則はできませんので注意してください。
メディカル・ベネフィットの主契約について
メディカル・ベネフィットの主契約における給付金は、以下の3つから構成されています。
- 入院給付金:病気やケガで1日以上入院したときに支払われるもの
- 手術給付金:公的医療保険制度の対象となる手術、放射線治療のほか、骨髄移植術や骨髄ドナーとなって骨髄幹細胞採取手術を受けたときに所定の金額が受け取れる
- 死亡給付金:被保険者が死亡したときに入院給付金の0倍~100倍の金額を受け取れるもの
入院給付金は病気やケガで1日以上入院したときに支払われるものです。
手術給付金は公的医療保険制度の対象となる手術、放射線治療のほか、骨髄移植術や骨髄ドナーとなって骨髄幹細胞採取手術を受けたときに所定の金額が受け取れます。なお手術給付金は先進医療にあたる手術や放射線治療を受けたときも同じように支払われます。これは珍しいです。
入院給付金の1入院あたりの限度日数は60日、120日、360日から選べます。また、3疾病(がん、心疾患、脳血管疾患)のときはそれが無制限になります。保険らしく機能させるのであれば120日または360日を選ぶのが良いでしょう。これが役立つ可能性は低いですが、そうした事態に対応できてこそ保険と言えます。
死亡給付金は被保険者(保険の対象となる人)が死亡したときに入院給付金の0倍~100倍の金額を受け取れるもので、0倍、10倍、100倍の3つから選べます。この保障は医療保険には不要な保障なので0倍を選べば実質的になくすことができますが、保険料を終身払いにしないと選択できません。
メディカル・ベネフィットの特約について
メディカル・ベネフィットには次のような特約があります。以下では1つ1つポイントを解説します。
特定疾病診断給付金特約
この特約は、特定疾病にかかり所定の状態になったときに一時金を受け取れるものです。
特定疾病とはがん(悪性新生物)、急性心筋梗塞、脳卒中です。がんについては診断確定が条件なので一般的ながん保険と同じです。
しかし、急性心筋梗塞や脳卒中は単にかかっただけでは給付金はもらえません。
急性心筋梗塞では60日以上の労働制限を受けること、脳卒中では60日以上の後遺症が継続することが条件。
しかしこれは古いタイプの3大疾病保障と同じ条件で、なかなか該当する状態にならないと言われています。
今はもっと条件が緩和されたものが増えているので、この特約はあまりおすすめできません。また、診断給付金の金額もホームページや約款に掲載されていないので不明です。
入院一時給付金特約
この特約は入院給付金が支払われる入院をしたとき、入院一時給付金額(3疾病のときは2倍)を受け取れるものです。
入院給付金は基本的に入院日数に比例して受け取れますが、たとえば1泊2日だと2日分しかもらえず金額が少なくなります。しかし短期入院でも5~10万円程度かかることが多いので、その不足分を補う意図で設けられている特約です。
こうした特約は本来は不要ともいえますが、短期入院のときであっても医療保険に入る以上はその費用がなるべくまかなえるようにしたいという心理は理解できます。
せっかく保険に入っているのに、入院して保険会社から受け取った給付金が費用をまかなえないことがあるのは嫌だと思うのであれば付加しておくことをおすすめします。
3疾病入院給付特約
この特約は3疾病で入院する場合に受け取れる入院給付金の金額を上乗せする特約です。
たとえば特約をつけていない場合に1日5,000を受け取れるように加入している場合に、この特約で3疾病で入院するときだけ5,000円上乗せして1万円にするという使い方です。
脳卒中では入院日数が長くなることがあるうえ、仕事を休む期間や後遺症で体の機能が低下して収入が減る可能性があるので、それを見越してこの特約でカバーすることもできますが、入院日数に比例してもらえる金額が決まるところが弱点です。
一時金でまとまった金額が受け取れるほうが使い勝手は良いですが、3疾病の範囲が広いというメリットもありますので決して悪くはありません。
なお、特定疾病と3疾病の違いはパンフレットにわかりやすく掲載されていますので引用しておきます。
先進医療特約
先進医療特約は、厚生労働省が指定している先進医療を受けたときに、その医療固有の費用(技術料といいます)を保険会社が負担してくれる特約です。通算で2,000万円まで保障されます。
ソニー生命の先進医療特約は他の保険会社とおおむね同じ保障内容です。先進医療はがんの治療法が多いので、がん保険に入っていなくて不安を感じるならつけておいても良いでしょう。
女性特定手術給付特約
女性特定部位(乳房、子宮、卵巣、卵管、甲状腺、副甲状腺)に対する手術を受けたとき、所定の給付金を受け取れる特約です。
女性特有の病気だと治療費が余計にかかるわけではありませんので基本的に不要ですが、がんの治療で乳房切除をしたときは再建したいと考える女性が多いようです。
その再建術にかかる費用を負担してくれるものなので検討する価値はあります。
抗がん剤治療特約
抗がん剤治療特約はがんの治療のために公的医療保険制度の対象となる所定の抗がん剤による治療を行ったときに給付金を受け取れる特約です。入院でも通院でも受け取れます。
この特約をつけることでがんの3大治療である手術・抗がん剤・放射線治療のいずれを受けても一定の給付金を受け取れるようになりますが、がんの保障としてはやや物足りない印象。
特定疾病診断給付金をつけるか別途がん保険を検討するほうが良いでしょう。
「メディカル・ベネフィット リターン」で気をつけるべき点
メディカル・ベネフィット リターンは、健康還付金支払日において被保険者が生存しているときは、それまで払った保険料を返してもらえる保険です。なおそれ以外の点は基本的にメディカル・ベネフィットと同じです。
健康還付給付金の支払い年齢は50歳、55歳、60歳、65歳、70歳、75歳、80歳の中から契約者が決めることができます。
なお、戻る保険料は全額ではなく、健康還付給付金支払日を迎えるまでに受け取った入院給付金などは差し引かれます。
受け取った給付金が支払った保険料を超えても問題ありません。戻るお金がゼロになるだけです。
ただ、そんなうまい話が世の中にあるのかと考える人も多いでしょう。もちろん保険金の支払い事由が発生したときにきちんと保険金を支払うだけのお金を確保する必要がありますので、保険会社は採算が取れるように仕組みを作っています。
そのからくりと関連があると思われるのは以下の点です。契約するときはこれらに注意して検討してください。
- 特約の保険料は含まない
- 期間内に死亡するとお金が戻らない
- 健康還付給付金支払い年齢を超えたら普通に保険料を支払う
- 同水準で他社と比較すると保険料が高い傾向にある
特約の保険料は含まない
健康還付給付金の支払日を迎えた時点で戻る対象となる保険料には特約の保険料は含まれません。
特約をたくさんつけて加入した場合は、戻るお金が意外と少ないと感じて驚くかもしれませんので注意してください。
期間内に死亡するとお金が戻らない
健康還付給付金支払日までの間に被保険者が死亡した場合、保険料の還付を受けることができません。一般的な貯蓄型の保険なら解約返戻金は相続財産になりますが、これはそうした扱いを受けられないのです。
つまり契約時点で決めた年齢で生存していれば保険料が戻り、死亡した場合は戻らないということなので博打のようなイメージになります。
健康還付給付金の支払い年齢は契約者が選ぶことができますが、欲張って長めに設定すると保険料の還付を受けられないリスクが上がります。そのため年齢の決定については悩むところでしょうが、欲張らずに決めるのがおすすめです。
健康還付給付金支払年齢を超えたら普通に保険料を支払う
健康還付給付金支払年齢を超えたあとも解約せずに保障を受けたいのであれば、普通に保険料を支払う必要があります。
この保険料は戻る対象にはなりません。
同水準の保障で他社と比較すると保険料が高い可能性がある
ソニー生命はホームページで保険料の試算ができません。そのためはっきりしたことは言えないのですが、一般的な保険と比較して保険料が高めに設定されている可能性があります。
パンフレットに掲載されている保険料例を引用すると、35歳男性/1入院の支払限度日数120日/入院給付金日額5000円/保険期間終身/保険料払込期間終身/健康還付給付金支払年齢65歳という条件で、保険料は月額4,610円です。
メットライフ生命の医療保険でおおよその条件をそろえて試算してみると、毎月の保険料は1,812円です。
ソニー生命のほうが保障内容が充実しているので保険料が高くなることは確かですが、これだけ大きく違うのは健康還付給付金特則がついていることが影響しているのではないかと考えられます。
そのため加入を検討しているときはできるだけ複数の保険会社の商品を扱う代理店に行って、他社商品と比較しながら検討してください。
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まとめ
ソニー生命の医療保険「メディカル・ベネフィット」は、発売時期における他社商品をよく研究したうえで良いところを盛り込んだ商品であるだけでなく、健康還付給付金のような変わった仕組みも取り入れている点がメリットです。
特定疾病診断給付金の支給条件が少し惜しいという印象ですが、全体的には悪くない保険であるといえるでしょう。
なお健康還付給付金特則をつけるときは他社商品と保険料の比較を行い、慎重に決めてください。
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