自動車保険

「9割の人が知らない!」弁護士特約のメリットとデメリット

自動車保険に任意でつけられる弁護士費用補償特約

しかしこの弁護士費用補償特約使われる機会が非常に少なく保険料が安いからという理由で「とりあえず入っている」という人も多いと思います。
※保険会社によりますが、弁護士費用補償特約は年間1500円程度が相場といわれています。

今回は弁護士費用補償特約のメリット・デメリットについて」解説していきます。

弁護士費用特約とは?

自動車事故では相手方との交渉が必要な場合がでてきます。

例えばどちらの方が過失が大きい等、「過失割合について交渉する」というケースが多いです。

交渉となると法律の知識が必要なこともあり、弁護士に依頼することがあります。

このときの弁護士費用を補償してもらえるのが弁護士費用特約(自動車事故弁護士費用等補償特約)となります。

交通事故が起こった際、加害者との間に入り”示談・賠償金請求”など交渉を有利に進めることができます。

補償の対象は?

弁護士費用特約記名被保険者やその配偶者、同居の親族などが対象となります。未婚であれば別居の子(独り暮らしの大学生など)や契約車に乗っていた人も対象です。

<対象者>

  • 記名被保険者やその配偶者
  • 同居の親族
  • 別居の子ども(未婚)
  • 契約車に乗っていた人

なお、記名被保険者契約車に乗る人で、保険契約者保険料を払う人です。記名被保険者と保険契約者は別の人でも構いません。

保険金の種類は?どのくらいもらえるの?

弁護士費用特約はおもに弁護士費用と法律相談がかかった際に支払われます。

  • 弁護士費用:1事故につき、1名あたり300万円が限度
  • 法律相談:1事故につき、1名あたり10万円が限度

年間での利用回数に制限はないため、何度も使うことができます。

しかし弁護士へ委任する場合は委任契約を保険会社に提出し、あらかじめ承認してもらう必要があります。

どういう時に利用できるの?

任意保険に加入していますので、補償の範囲内であれば、保険会社が示談し、過失割合を決めた上で保険金が支払われます。

しかし相手が100%悪い、もらい事故などの場合、保険会社は示談しません。

余談ですが保険会社は自分達が保険金を払うかどうかについてはシビアになりますが、自分の顧客が別の保険会社から保険金がもらえるかどうかは無関係なので関心がないのです。

ただその場合でも次のようなケースが考えられます。

  • 相手方が保険に加入しておらず、十分な保険金を得られない。
  • 相手方が損害賠償請求に応じない。

このケースの場合、相手が100%悪くても交渉しなければならなくなり、法律の専門家に依頼しますが当然、費用がかかります。この際の相談料や弁護士費用で利用することができます。

運転していない時の事故も対象となる

自動車事故でももらい事故などで過失割合が「0」のときが対象です。しかし以下のケースも対象となります。

例えば記名被保険者が歩行中に、信号無視で突入してきた自動車にひかれた場合にも補償の対象となります。

またバスに乗っているときに急停車でケガをした際も対象となります。

弁護士費用特約を使うと等級が下がる?

一般的に等級が下がるケースは以下の場合です。

自分の車や搭乗者、相手の車や搭乗者、物品などを保険を使って補償した場合に限られます。

弁護士費用特約を使ってもノーカウント事故となり、等級には影響しません

弁護士費用特約を付けると特約保険料はどのくらいかかる?

弁護士費用特約の保険料は契約内容によって異なりますが、セゾン自動車火災保険に参考保険料の記載があります。

これによると年間1250円や1600円とありますので、年間1500円前後が一般的だと考えられます。

(出典:おとなの自動車保険|弁護士費用特約

弁護士費用特約の加入と利用

弁護士費用特約は弁護士が必要になるほど困った状況に役立ちそうなのはわかりました。

では弁護士費用特約はみなさんつけているのでしょうか?また利用頻度は高いのでしょうか?

✔︎弁護士費用特約の加入率:7割
✔︎弁護士費用特約の利用率:0.05%

弁護士費用特約の加入率

セゾン自動車火災保険の加入者では、70.4%(2017年3月末時点)の人が特約を付けているようです。

年間1,500円程度で保険料負担が少なく、いざという時の費用負担が気になるのでしょう。

(出典:おとなの自動車保険|弁護士費用特約

弁護士費用特約の利用率

平成22年度の古いデータですが、利用率は0.05%のようです。1万人の加入者に対して5件くらい。

交通裁判は年々上昇していますがそれでも利用するケースはごく稀なようです。

(出典:保険の窓インズウェブ|あなたの自動車保険に、弁護士費用特約は付帯されていますか?

弁護士費用特約のメリット・デメリット

弁護士費用特約について見てきましたが、ここでメリット・デメリットとしてまとめておきます。

<弁護士費用特約のメリット>

  • 保険料負担が少ない万一のときに大きな助けとなる

<弁護士費用特約のデメリット>

  • 使う機会がごくわずか

※本当は使えるのに使い方がわからないというケースもあります。

最大のデメリットは使うケースが極めて低いこと

弁護士費用特約はまず自動車事故で弁護士が必要になる場面でしか利用する機会がありません。

近年交通事故による損害賠償訴訟の件数は増加傾向にありますが、それでも交通事故総数に対する訴訟の割合は5%以下。つまり訴訟まで発展するのはおおよそ20件に1件以下となっています。

法務省の統計によると、例えば平成25年の事故全体の件数はおよそ63万件、そのうち裁判まで発展した件数は約2.9万件(地裁、簡裁の合計)です。

出所:法務省公式サイトの資料(PDF)

ただでさえ事故を起こして自動車保険を使う機会は生涯に1度~2度あるかないかくらいのものですから、弁護士特約を使って交通事故裁判を経験する可能性は極めて低いと言えます。

弁護士費用特約の注意点

弁護士費用特約は対象者の範囲が広く、記名被保険者の配偶者も対象です。仮に配偶者も弁護士費用特約を付けた場合、保険が重複することになりムダになります。

またムダだと思い、配偶者は特約を付けなかった場合、記名被保険者が廃車などにより特約の効果がなくなると配偶者も利用できなくなります。

弁護士費用特約は必要か?

弁護士費用特約を付けるかどうか、迷われている方もいらっしゃるでしょう。弁護士費用特約を付けない場合、気になるのはもしもの時の弁護士費用だと思います。

弁護士費用は弁護士によって異なりますが、以前は統一されていたため、ある程度想定することができます。

<弁護士費用 報酬額計算例 経済的利益300万円超3000万円以下の場合>

  • 着手金 5%+9万円
  • 報酬金 10%+18万円

(出典:(旧)日本弁護士連合会弁護士報酬基準

仮に経済的利益が500万円の場合、以下のようになります。

  • 着手金 500万円×5%+9万円=34万円
  • 報酬金 500万円×10%+18万円=68万円

合計で102万円となります。これに交通費など経費が加わります。

経済的利益の額によって報酬が変化するので何とも言えませんが、限度額300万円としていることから、平均的には300万円以内でおさまるものと思われます。

さて、弁護士費用特約が必要かどうかですが、弁護士費用を支払える余剰資金があれば加入する必要はないでしょう。

保険は正確なデータに基づいて被保険者が損するように出来ているため(でないと保険会社が倒産してしまいます)、万が一の場合に備えられるなら加入する必要はありません。

そもそも利用率が極めて低いためムダになる可能性が非常に高いです。

一方、弁護士費用として割り当てられる資金がない場合で万一の時がどうしても心配なら特約を付けておいた方が無難です。特約費用が割安であることは間違いありませんので。

また自動車が古く、事故にあっても修理より買換えを考えている場合、特約は不要という考え方もあります。

現在の余剰資金と事故時の損害額を照らし合わせて必要かどうか決めましょう。

<弁護士費用特約は必要?>

  • 弁護士費用を支払える金額があれば必要ない
  • 事故にあったとき買換えを考えている場合は必要ない

自動車保険一括見積で比較する(参考)

自動車保険の見直しや新規加入の際はこれを機に自動車保険の一括見積サービスを使って自分に合った最適なプランを見つけましょう。

自動車保険は保険会社によって保険料が結構変わってきますが、「この保険会社が一番安い」というのは特になく、加入する人やプランによって変わってきます。

なので保険料を安く抑えたいという場合は自動車保険の一括見積サービスを利用することをお勧めします。

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