学資保険

学資保険は返戻率で決めて大丈夫?返戻率が高いものには理由がある。

学資保険子どもが進学する時に必要なお金を積み立てる保険。貯蓄として考えるなら返戻率が高いプランを選ぶのがオススメです。

広告などを見ると、多くの保険会社が返戻率の高いプランをアピールしています。しかし、本当に返戻率の高さだけで学資保険を決めてしまっても良いのでしょうか?

「返戻率が高い分、何かデメリットがあるのでは?」と考える方も多いと思います。

ここでは「学資保険の一例を出しながら内容を比較し、それぞれ返戻率の高いプランや低いプランで何が違うのか」を解説します。

返戻率とは

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本題に入る前にまず「返戻率とは何か?」を解説しますね。返戻率がちゃんとわかる方は読み飛ばしても大丈夫です。

「なんとなくは分かってるけど…」という人は確認のために読んでおくことをお勧めします。

返戻率:支払った保険料の総額に対して返ってくるお金の総額の割合のことです。

例えば毎月1万円ずつ10年間、合計120万円保険料を支払ったとしましょう。

120万円支払った保険料に対して返ってくるお金(解約返戻金やお祝い金等含めたもの)が120万円なら返戻率100%となります。

よく学資保険のパンフレット等で返戻率が表記されていますが、返戻率100%とあれば上記のように支払った保険料と同じ金額が返戻金として返ってくる保険となります。

返戻率110%なら支払った保険料に10%上乗せされて帰ってきます。上記例(保険料総額120万円)なら132万円となります。

逆に返戻率90%となっていれば返ってくるお金の総額は10%マイナスされたものとなります。

保険料総額120万円ならマイナス10%で108万円が返ってくる。つまり12万円(10%)が損失となるわけです。

学資保険の一例

返戻率が分かったところで、具体的に販売されている学資保険を例に見てみましょう。

知名度の高いソニー生命とJA共済の学資保険を例にあげて説明します。

ソニー生命

ソニー生命では2つのプランを見てみましょう。

  1. 契約途中で給付金の支払いを受ける祝い金の特約はなく、18歳から5年間40万円が支払われるプラン
  2. 子どもの年齢が10歳の時に保険料を払い終えるプラン

先に18歳から5年間40万円が支払われるプランを見てみましょう。

毎月の保険料を安く抑えながら106%の返戻率を確保しています。

18歳から5年間40万円が支払われるプラン
返戻率 106.9%
払込期間 18年
保険料の支払い総額 1,870,560円
給付金の受取り総額 2,000,000円
プランの内容 ・祝い金の設定:なし
・18歳から5年間40万円ずつ支給される
毎月の保険料 8,660円
※ 契約者は30歳男性で計算しています。

次は子どもの年齢が10歳の時に保険料を払い終えるプランです。

上のプランと同じように契約途中の祝い金の特約はなく、18歳から5年間40万円が支払われます。

保険料の総額を早く払い終えることで、115.9%という高い返戻率になっています。

子どもの年齢が10歳の時に保険料を払い終えるプラン
返戻率 115.9%
払込期間 10年
保険料の支払い総額 1,724,160円
給付金の受取り総額 2,000,000円
プランの内容 ・祝い金の設定:なし
・18歳から5年間40万円ずつ支給される
毎月の保険料 14,368円
※ 契約者は30歳男性で計算しています。

保険商品は一般的に保険料を早く支払うとその分返戻金が高くなる、つまり返戻率が高くなる傾向にあります。

総額を早く払い終えることは、保険会社にとってはお金をプールしておけるので歓迎されます。

また、契約の途中で祝い金の支払いがないということも保険会社にはリスクが少なくなるので、その分返戻率を上げることで契約者にもメリットのあるプランになっています。

ですが、支払う期間が短くなると毎月の保険料が高くなるというデメリットもあります。

JA共済

JA共済は自身の経験からですが、なんとなく職場などで保険販売員に勧めれれることが多い気がします。

ソニー生命と同じように祝い金の特約はありませんが、「養育年金特約」をつけるだけで返戻率が100%を切るプランです。

JA共済のプラン
返戻率 93.5%
払込期間 17年
保険料の支払い総額 2,137,192円
給付金の受取り総額 2,000,000円
プランの内容 ・祝い金:なし
・養育年金特則:あり
毎月の保険料 10,480円
※ 契約者は30歳男性で計算しています。

※「養育年金特約」=契約者(親)が死亡した時に、以降の払い込みが免除になるだけでなく育英年金(プランによるが平均20万円~50万円)が毎年支給される。

返戻率が高いものと低いものはどう違うの?

上記のプランを比べてみると分かりますが、ソニー生命とJA共済で返戻率が大きく違います。

どうして保障の内容によって返戻率に違いが出てくるのでしょうか?

返戻率が高いプランの特徴

返戻率が高いプランは、主に貯蓄性を重視したものです。以下が特徴となります。

  • 小学校や中学校に進学するタイミングで支払われる祝い金
  • 子どもの医療保障などの特約が少なく、満期時にまとまったお金を受け取れるプラン

保障はあまりありませんが、保険会社にとって契約の途中で給付金を支払うというリスクが少なく、その分返戻率を上げて最終的に戻ってくるお金を増やしています。

保障を少なくすることで毎月の保険料を安く抑えることができるので、家計の負担にならず教育資金を貯めていくことができるのもメリットです。

年払いや一定の年齢で払い終えるようなプランを選べば、返戻率が上がるのでより高い利回りで運用できます。

 返戻率が高いプランにはこんな落とし穴が

返戻率が高いプランは良いことばかりではありません。

途中で解約した場合、返戻金は満期の時に設定されている返戻率より低い利率で計算されるので、をしやすいというデメリットもあります。

特に返戻率の高いプランは保険料が比較的高いことが多く、契約途中で支払いが困難になる可能性もあります。

また、育英年金などの特約をつけない場合、契約者(親)に万が一のことがあった時の保障が薄くなります。

ですが、育英年金は契約者に何も起こらず満期を迎えた場合は無駄になる保障。

例えばほかの生命保険で死亡保障をつけているなど、代わりのものがあるなら無理につける必要はありません。

もしほかに死亡保障がない場合は、学資保険の保障のひとつに加えておくことを検討してみましょう。

返戻率が低いプランとは

返戻率が低いプランとは貯蓄より保障に重点を置いたものです。以下のものがほとんどです。

  • 進学時のタイミングで祝い金が出る
  • 子どもが怪我をした時の医療保障
  • 育英年金などが特約としてプラス

契約者にとっては手厚い保障を確保できますが、保険会社にとっては支払いの機会が増えるのでリスクとなります。なので返戻率を下げ最終的な給付金の総額を抑えることで、リスク分を回収しています。

返戻率の低いプラン

  • 契約者:手厚い保障。毎月の保険料が高い。
  • 保険会社:支払いの機会が増えるためリスク
    →返戻率を下げて最終的な給付金総額を抑えている

保障が増える分、毎月の保険料が高くなりがちです。学資保険の主な契約部分は貯蓄ですが、それ以外の保障=特約にかかるお金は掛け捨てになります。

祝い金が欲しい、また自分に万が一のことがあった時に備えたいなど、保障を重視する場合はどうしても返戻率が下がってしまいます。

まとめ

返戻率の高い保険は一般的に、以下の特徴を持っています。

  • 保険料の支払い期間が短い(支払い終わるのが早い)
  • 返戻金の受取回数が少ない(満期に1度限りが最も高い)
  • 万が一の保障が薄い

返戻率の高いプランとは貯蓄性が高いものなので、満期時により多くの保険金を受け取りたいという人に向いています。

しかし貯蓄以外の保障の内容が薄くなるので、万が一の時にプラスにならないというデメリットもあります。

逆に保障の内容を重視するなら、その分返戻率が下がることを頭に入れておかなければいけません。

自分の家庭には保障が必要かどうかなどを考えながらプランを決めることが大切です。

返戻率の高いプラン:保険金を多く受け取りたい人向け

  • 貯蓄性が高いものなので満期時に多くの保険金を受け取りたい人向け
  • 貯蓄以外の保障内容は薄い

返戻率の低いプラン:保障内容を充実させたい人向け

ABOUT ME
hirota
子育て主婦ライター。主に学資保険を担当しています。
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