メットライフ生命の医療保険は一般的な掛け捨ての保険(フレキシィS)だけでなく、一定の条件を満たすとそれまで支払った保険料が全額戻るタイプ(リターンボーナスつき終身医療保険)もあります。世の中にうまい話はありませんので、何か裏があるのではないかと考える人も多いのではないでしょうか。
そこで、メットライフ生命で医療保険に加入するならフレキシィSとリターンボーナスつき終身医療保険のどちらが良いか解説します。
Contents
掛け捨てを選ぶか、リターンのあるタイプ選ぶか
メットライフ生命の医療保険には、以下の4種類があります。
公式サイト:医療保険|メットライフ生命
- 終身医療保険 フレキシィS
- 終身医療保険 フレキシィS(女性専用タイプ)
- 終身医療保険 フレキシィゴールドS
- リターンボーナスつき終身医療保険
このうち女性専用のフレキシィSは一般向けのフレキシィSと同じ商品です。女性専用タイプは一般向けのフレキシィSに、女性向けの特約がついたおすすめプランにすぎません。
また、フレキシィゴールドSは持病や既往症のある人向けの医療保険です。この記事の主題ではないので詳しい解説は省きますが、健康状態の良くない人向けの商品は基本的に費用対効果が悪いのであまりおすすめできません。
そうすると、メットライフ生命で健康状態に問題のない人が医療保険に加入する場合はフレキシィSとリターンボーナスつき終身医療保険のいずれかから選択することになります。
フレキシィSは一般的な掛け捨ての医療保険ですが、リターンボーナスつき終身医療保険は所定の条件を満たすとそれまで支払った保険料が全額、戻ります。
保険料が戻るなら誰でもリターンボーナスつき終身医療保険を選びたくなるかもしれませんが、それでは保険という仕組みが成り立たないので、必ずどこかに落とし穴(注意点)があるはずです。
そこで、以下ではまずそれぞれがどんな商品なのかを解説し、その後に比較をしてメリット・デメリットを検証します。
フレキシィSの特徴
保険は主契約と特約・特則から構成されます。主契約は必ず契約する必要がありますが、特約・特則は付加するかどうかを自由に決められます。以下で主契約から順に解説します。
フレキシィSの主契約
フレキシィSの主契約は疾病入院給付金と災害入院給付金のみです。手術給付金や放射線治療給付金が主契約に組み込まれていない商品は珍しいです。
これらの給付金は病気やケガを原因として入院したとき、入院日数に比例して受け取れます。
1回の入院での支払限度日数は60日型、120日型、730日型の3種類で、通算の保障日数は1095日です。通算日数は問題ありませんが、120日型の次に長いのが730日なので、その間の180日型や360日型があればもっと良いでしょう。
短期入院定額払特則を付加すると、1回の入院日数が10日以内の場合は入院日数にかかわらず入院給付金日額の10倍の給付金が受け取れます。これは、数日間の入院でも10万円近い費用がかかることが多いのですが、入院日数に比例して支払われる給付金だけだと不足することがあることに対応したものです。
厳密には不要な保障ですが、治療費が不足するのが嫌なら付加しておくのがおすすめです。
フレキシィSの特約
フレキシィSの特約は以下のとおりです。
終身手術総合保障特約
この特約を付加すると、所定の条件に該当したときに手術給付金、放射線治療給付金、骨髄ドナー給付金のいずれかを受け取ることができます。
手術給付金は公的医療保険制度の対象となる手術、先進医療に該当する手術、医科診療報酬点数表に輸血料の算定対象として列挙されている骨髄移植術のいずれかを受けたときに支払われます。
放射線治療給付金は医科診療報酬点数表に放射線治療料の算定対象として列挙されている放射線治療を受けたときと、先進医療に該当する放射線治療または温熱療法を受けたときに支払われます。
骨髄ドナー給付金は、ドナーとして骨髄幹細胞または末梢血幹細胞の採取手術を受けたときに支払われます。
以上はごく一般的な保障内容で、特筆すべき点はありません。
先進医療給付特約
厚生労働大臣が指定する先進医療を受けたとき、その固有の費用(技術料といいます)を受け取れる保障です。フレキシィSではこのほかに「先進医療一時金」を受け取れます。
先進医療一時金は、先進医療を受けるときに遠方の医療機関を受診することを想定した給付金です。
先進医療は治療などの選択肢を増やす効果があります。過剰な期待は禁物ですが、保険料が月100円程度と安いので、気になるなら付加しておくと良いでしょう。
終身7疾病入院延長給付特約
この特約はガン(上皮内新生物を含む)、糖尿病、心疾患、高血圧性疾患、脳血管疾患、肝疾患、腎疾患のいずれかの治療を目的として入院すると給付金を受け取れるものです。ただし、主契約の入院給付金が支払われる期間は支払われません。
つまりこの特約を付加すると、たとえば120日型で入院給付金を契約している場合、120日を超えた分についてはこの特約から入院給付金が支払われるということです。
一部の疾患では長期入院の可能性があるので、この特約は検討する価値があるといえるでしょう。
長期入院するケースがまれな病気も含まれていますし、精神疾患は対象外である点に注意が必要。
ごく普通に180日型や360日型が用意されているほうが良いといえます。
終身女性疾病入院給付特約
対象となる疾病で入院したときに入院給付金が上乗せされる特約です。
対象となる疾病は以下が該当します。
- 乳房の悪性新生物
- 子宮平滑筋腫
- 流産
- 多胎分娩など
基本的に女性特有の病気だから医療費が高くなるわけではありませんが、強いていえば出産のときは異常が生じるリスクが高いので、出産が終わるまでの間は契約しておいて、終わったら解約するという方法もあります。
新終身通院給付特約
退院後、その原因となった病気やケガの治療を目的として通院した場合に、その日数に応じて支払われる給付金です。
通院は回数も多くなく、給付金日額も低く設定されていてまとまった金額を受け取れないことが多いので、あまり意味はないでしょう。
新終身退院給付特約
主契約の入院給付金が支払われる入院をし、その日数が通算5日以上になった後、生存して退院すると給付金が受け取れる特約です。
退院後の通院費用をまかなうものとしても使えますが、本質的に必要なものとはいえないので付加しなくて良いでしょう。
終身特定疾病一時金特約
Ⅰ型とⅡ型があり、Ⅱ型では上皮内新生物または悪性新生物と診断確定されたときに給付金が受け取れる特約です。
いずれも診断確定から1年後以降に、その治療を目的として手術・放射線治療・抗がん剤治療のいずれかを受けると再度、給付金が受け取れます。治療が長引いたときに再度給付金を受け取れたり、再発したときに再び給付金を受け取れたりするので、条件としては良いと言えるでしょう。
Ⅰ型の場合は心疾患や脳血管疾患でも一時金が受け取れます。ただし、所定の手術を受けるか継続20日以上の入院が必要です。条件としては良くも悪くもない中間くらいの位置づけになります。保障範囲は広いので検討する価値はあるでしょう。
終身介護保障一時金特約
公的介護保険制度の要介護2以上と認定されたときその他で介護保障一時金が受け取れる特約です。
介護の保障としては中途半端なので、介護の保障を得たいなら単体の保険を検討するほうが良いです。
終身認知症診断一時金特約
認知症と診断確定されると一時金を受け取れる特約です。
一時金の金額が不明なので評価しづらいですが、認知症になると治療費もかかりますし介護の必要性が生じることが多いです。保険料次第で検討の余地がないわけではありませんが、介護保険とセットで検討するのがおすすめです。
この他、災害死亡給付特約、定期保険特約、終身死亡給付特約もありますが、検討に値しないので省略します。死亡保障は死亡保険で得るようにしましょう。
健康祝い金特則
以上の特約のほか、健康祝い金特則というものがあります。
健康祝い金特則を付加すると、5年または10年ごとに、所定の条件を満たすと入院給付金日額の10倍の祝い金を受け取れます。
所定の条件とは、算定期間の間(5年または10年ごとの期間)に継続10日以上の入院で給付金を受けとっていないことです。
ホームページで保険料の試算が可能なので試算してみました。この特則を付加すると、30歳男性で保険料が675円(算定期間は5年)上がります(健康祝金は5万円)。
5年間で支払う保険料の総額は675円×12カ月×5年=4万500円なので、5万円を受け取ればプラスになります。しかし、継続10日以上の入院をしてしまうと4万500円がまったく戻ってこないという仕組みです。
この特則を付加すると、継続10日以上の入院がなければ少し得をすることになりますが、10日以上の入院をするときに入院給付金の請求をためらうのではないでしょうか。
少なくとも治療費に備える性質を持つ特約ではないので、疑問に感じるなら加入すべきではないでしょう。
リターンボーナスつき終身医療保険の特徴
リターンボーナスつき終身医療保険は特殊な医療保険です。そのため保険料が戻るという点にだけ気を取られるのではなく、その他の注意点にも十分気をつける必要があります。
リターンボーナスつき終身医療保険のメリット
この保険は終身保障なので保険期間は終身ですが、それとは別に「生存還付給付金算定期間」というものがあります。加入してから65歳くらいまでで設定する期間と考えてください。
生存還付給付金算定期間の間は、入院などを原因とする給付金のほか、健康祝金を受け取ることができます。健康祝金は継続5日以上の入院をしていないときに受け取る給付金で、10口の加入なら10万円です。
生存還付給付金算定期間が終わった時点で、支払った保険料の総額から受け取ったお金を差し引いた残りを生存還付給付金として受け取るのです。この時点で、支払った保険料はすべて戻ったことになります。そしてそのまま保障は継続されます。
たとえば生存還付給付金算定期間で200万円の保険料を支払い、入院給付金を20万円、健康祝金を50万円受け取ったとします。この場合の生存還付給付金は200万-20万-50万=130万円ということになります。
結果的に保険料の負担なしで老後は医療保障を受けられるのでメリットが大きく見えますが、いくつか注意すべき点があります。
リターンボーナスつき終身医療保険のデメリット
リターンボーナスつき終身医療保険のデメリットは次のとおりです。
保障内容が今ひとつ
リターンボーナスつき終身医療保険はⅠ型とⅡ型があり、保障内容で主なものを挙げるとⅠ型が入院給付金、手術給付金、通院給付金、退院給付金で、Ⅱ型は入院給付金と手術給付金のみです。
いずれも死亡保障がありますが、金額が少ないのであまり意味はありません。
入院給付金についてはフレキシィSと同じですが、手術給付金の対象となる手術の範囲が狭いので注意してください。昔の医療保険で典型的だった保障内容で、最新の動向はまったく反映されていません。
特約がほとんどない
リターンボーナスつき終身医療保険に付加できる特約は「年金支払特約」と「給付金代理請求特約」しかありません。
年金支払特約は生存還付給付金を年金形式で受け取るもので、給付金代理請求特約は本人が給付金を請求できないときに代理で受け取る人を指定しておく特約にすぎません。
そのため、医療保障としては不十分な保険です。がんや3大疾病の保障などを付加することもできませんので、こうしたときの備えは別途、考えておく必要があります。
保険料が高い
保険料の試算ができないので契約概要に掲載されている例を挙げると、40歳の男性がⅡ型・5口(入院給付金5000円)で加入した場合、65歳払込満了で毎月の保険料は2万2715円となっています。
25年間で支払う保険料の総額は681万4500円で、一般的な医療保険と比べてかなり高いです。
この多くが戻るにしても、あまりに保険料が高すぎます。
また、生存還付給付金は被保険者(保険の対象となる人)が生存還付給付金算定期間の末日において生きていることが前提です。その前に被保険者が死亡したり解約をしたりした場合、支払った保険料を大幅に下回る金額しか受け取れません。
以上を考えると、一般の人にはあまりおすすめできない保険であるといえます。
まとめ
フレキシィSとリターンボーナスつき終身医療保険のどちらを選ぶかという点でいえば、フレキシィSでしょう。
フレキシィSは決して悪い商品ではありません。主契約に加えて終身特定疾病一時金特約や先進医療特約を付加すれば、医療保障としてはおおよそがカバーができます。
リターンボーナスつき終身医療保険のように奇抜な商品はメリットもありますが、デメリットもあります。メリットに目を奪われてデメリットを十分確認せずに加入することのないようにしましょう。
「生命保険に加入したいけどどれがお得なのかわからない」
「保険料の負担がきついから解約しようか迷っている」
「自分にとって一番最適な保険に入りたい」
現在日本で加入できる生命保険会社は数十社にのぼり、各社それぞれたくさんのプランを提供しているため、一人で保険選びをするのは非常に難しいです。
保険のビュッフェが提供する無料保険相談サービスでは、保険の専門家(ファイナンシャルプランナー)があなたに最適な保険を紹介してくれます。
保険相談は無料で出来ますし、もちろん「お話だけ聞いて加入しない」でもOK!
ご検討ください。
※保険の見直し一つで年間数万円以上の保険料が変わってくることもあります