度重なる年金制度の改悪によって老後の不安が高まる中、近年個人年金を検討する若い世代が増えています。
30代といえば仕事に慣れ、社内でも少しずつ責任のある仕事を任せられ、収入の増加も期待できる年齢です。
しかし支出面での増加もあり、自動車や住宅の購入、交際費の増加など、安定している年代ともいえません。
そこで本ページは「収入が増えてきて将来のことを考え始めるようになった30代の方が、老後のために個人年金保険に加入するメリットはあるのか」を解説します。
Contents
30代から個人年金保険に入るとどうなる?
まず、メリットがあるかどうか検証する前に、具体的にシミュレーションをしてみましょう。
ある保険会社のシミュレーションを使って、30歳で加入し65歳で受け取る場合はどのような結果になるのかシュミレートしてみました。
条件は「30歳、月払保険料1万円、保険料払込期間35年、10年確定年金(定額型)」です。
払込保険料累計額 | 受取年金累計額 | 返戻率 |
---|---|---|
420万円 | 493.6万円 | 117.5% |
35年間保険料を支払うことで、払込保険料累計額に対して17.5%増えることがわかります。
月払保険料は1万円ですから、仮に初任給を受け取った時から加入したとしても、その後の結婚や住宅購入などのライフイベントが発生しても払える金額だと思います。
保険会社によっては、返戻率(支払った保険料に対して返ってくるお金の割合)が120%を超える商品もあり、また個人年金保険料控除(生命保険料控除の一種)を考慮すれば、もう少し返戻率は上がります。
※生命保険料控除についての詳細は驚くほどの効果がある会社員でも出来る4つの節税方法をご確認ください。
返戻金は原則保証されているため、株式投資のように元本割れを起こすリスクは極めて低いのもメリットの一つです。
50歳で加入した場合はどうなる?
次に、上記と同じ個人年金に50歳で加入した場合をシミュレーションしてみましょう。
条件は50歳というのを除いては同じく「月払保険料1万円、保険料払込期間16年、10年確定年金(定額型)」です。
払込保険料累計額 | 受取年金累計額 | 返戻率 |
192万円 | 201万円 | 104.6% |
50歳から加入した場合、この保険会社では66歳からしか受け取ることができません。こちらは16年で4.6%しか増えていません。単純に増加率を加入期間で割ってみると、
30歳加入 | 50歳加入 |
0.5% | 0.2875% |
年間の上昇率は30歳加入の方が倍近く優れています。
基本は早めに加入した方が良い
上記結果から、単純に返戻率を比較すると圧倒的に若いうちから加入した方がメリットが大きいことがわかります。
「50歳から加入して30歳から加入した場合と同じ受取額」を達成するためには、毎月いくら保険料を払う必要があるか見てみると、
払込保険料累計額 | 受取年金累計額 | 返戻率 |
384万円(2万円×16年間) | 402万円 | 104.6% |
上記のように月払保険料2万円で受取累計額が402万円となります。
払込期間が半分以下であることを考えると、30歳で加入した時と同額の年金を受け取るためには月々2万4千円程度の保険料になります。
30歳から加入すれば月払保険料1万円で120%弱、50歳からだと月払保険料2万4千円ほどで104.6%であることを考えると、やはり個人年金保険は早めに加入した方が良いでしょう。
少ない保険料で長期間、少しずつ、積立と同じ感覚で退職後の生活資金の準備ができるという特徴があります。
早く加入するデメリットもある
ここまでは30代を相手に保険の加入を勧める保険販売員の営業トークでよくあるものです。
しかし30代が早く加入するデメリットが3つほどあります。
- 保険料が支払うことができず解約せざるを得ない可能性がある
- 収入が少ないと投資効果が小さくなってしまう
- インフレリスクに対応できない場合がある
収支が不安定で保険料が支払えずに解約せざるを得ない
1つ目は30代は収入と支出が不安定…そのため保険料が支払えずに解約せざるを得ない状況がある…ということ。
30代は結婚し、子どもが出来たり…と生活環境が大きく変動しやすい年齢でもあります。
一般的に50歳以降であれば子どもが独立し貯蓄をしやすい年齢に突入していますが、30代だと子どもが出来て養育資金が必要になり、学資保険等を検討したくなります。
その際に保険を見直して個人年金を解約してしまうということも少なくありません。
個人年金は満期まで契約し続けると返戻金が100%を超えますが、途中で解約すると元本割れを起こす可能性が非常に高いです。
少ない掛け金だとリターンも小さい
2つ目の理由は収入が少ないと投資効果が小さくなってしまうことです。
保険商品は原則掛け金を大きくすればリターンも大きく、逆に小さくすればリターンも小さくなります。
先述した30歳と50歳の例でも、30歳の時の掛け金1万円と50歳の時の掛け金2.4万円のリターンが同じになっています。
30歳の時の1万円の保険料の捻出よりも50歳の時の2.4万円の保険料の捻出の方が容易な場合も多いため、必ずしも若いうちから加入した方がリターンが大きくなるとは限りません。
インフレリスクに対応できない場合がある
3つ目が一番重要。低金利の時期に30歳から加入してしまうとインフレリスクに対応できない恐れがあります。
変動型を除く保険の返戻金は固定されているため、他に利率のいい商品があっても上乗せするか解約するかして加入しなければなりません。
50歳からの場合、基本的に短期間での投資はそれ自体リスクが生じます。
生活資金のためであればなおさら、なるべくリスクは減らしたいものです。投資の経験や知識があれば別ですがなるべく値動きのある商品の投資は避けたいところ。
また加入期間が短ければそれだけインフレリスクを負う可能性は低くなります。
まとめ
30歳に個人年金に加入するメリット・デメリットをまとめると以下のとおりです。
- 30代の若いうちに加入した方が返戻率が高くメリットは多い
- 無理して加入すると途中解約するリスクもある
- インフレリスク等、早く加入するデメリットもある
50歳から加入した方がいい2つ目の理由に関しては、30歳から加入したとしても増額すればいい話ですので大きな理由とはなりません。しかし残り2つの理由については利率だけでなく50歳という年代に応じた運用をすることができます。
その点、30代のような若い時には株式や投資信託の知識や経験を積み、長期間でポートフォリオを組んで運用できますので、個人年金保険を利用することでその機会を奪われてしまうことにもなります。
個人の考え方にもよりますが、違った角度から見ると、50歳からの個人年金保険も悪くないということで相対的に30歳からの加入は低金利であることを前提とするとメリットは少ないという結論になります。
まだ子どもがいないうち、小さいうちは個人年金よりも学資保険等他の保険や金融商品を優先することをお勧めします。
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