生命保険には異なる以下の2つの役割があります。
- 保障性:万が一病気やケガがあったとき、医療費と当面の生活費を保険会社から受け取る。
- 貯蓄性:長期間にわたって保険料を支払うと、その保険料は貯蓄の意味合いを兼ねる。
ある時点を以って支払済保険料総額を終身保険受取金(もしくは解約返戻金)が上回るポイントに到達します。これが生命保険の持つ「貯蓄性」です。
生命保険と一口に言ってもいくつかの種類があります。
- 死亡(終身)保険:保険の対象者となる被保険者が死亡もしくは高度障害となったときに保険金を支給し、かつ貯蓄性を有する保険。
- 医療保険:病気やケガになったとき、被保険者本人に医療費を保証する、まさに生存保険というべき保険。
本ページでは「死亡保険と医療保険はどっちを優先すべきか」について解説します。
Contents
死亡保障が重要なら死亡保険を優先する
結論からいうと、自身に万が一のことがあったときに生活に困る家族がいるのなら死亡保険を優先すべきです。
一方「現在単身で死亡したときの保険金支給は優先しないけれど、病気やケガの保障はある程度持っておきたい。」このような場合は医療保険を優先すべきといえるでしょう。
- 家族がいる方:死亡保険を優先
- 単身の方:医療保険を優先
注意したいのは死亡保障と医療保険、どちらも加入することができることです。
ファミリーの大黒柱となっている人は、この「両方加入している」という方が大多数ではないでしょうか?
これは必ず別々の保険に入らなければいけないという意味ではありません。
死亡保険と医療保険を併せた養老保険
死亡保険と医療保険のエッセンスを兼ね備えた「養老保険」という保険もあり、それぞれ単体で加入するよりは割安な保険料で保障を受けることができます(もちろん別々に加入した場合は保険料が安くなる終身保険&医療保険の組み合わせもあります)。
家計が破綻するリスクを回避するための学資保険
「学資保険」という商品もあります。
学資保険:基本的に貯蓄性を優先させながらも、保険加入中に保険料支払者である両親に何かがあった時以降の保険料を免除するもの。
子どもが育ちざかりになる前に教育費の捻出を主な目標として加入する保険です。
家計を支える働き主が死亡することで収入が途絶えて家計が破綻するリスク。その措置として加入する生命保険があります。
自身の病気やケガに対して保険に期待するリスク。
生命保険の根本的な考え方は、潤沢な保険料があれば様々な保険に加入してあらゆるリスクを回避するものの、限りあるお金のなかで「何を優先するのか」という考え方。
年齢や家族構成によって対策していくことが大切な考え方です。
保険加入時は「保障額」にも注意する
死亡保険と医療保険、どちらかを優先させることを決めた。その次の段階で決めることが「保障額をいくらに設定するか」です。
実際に共働きで子どももいない夫婦が若い頃に保険会社の営業マンに勧められて、まず必要額とは思えない1億円の終身保険に2人して加入していたという笑えない話も。
高額の保障は同時に、高額の保険料が必要となります。
もしもの時を危惧するばかりに、毎月の生活費を削っていたという場合も…保険料をつぎ込み過ぎないことも大切です。
保険料をつぎ込み過ぎない対策として以下のようなものもあります。
- 日常生活のストレス発散にお金をかけること
- 貯蓄をするにしても保険のほかに現金の貯蓄や有価証券の活用など
これら生命保険の保障を考える場合、忘れてはいけないのは「公的保障」です。
病気やケガの場合、基本は公的保障で対処し、不足部分について民間保険を活用するという考え方をベースとしましょう。
万が一の対策は公的保険(健康保険)だけで十分?
日本ではすでに国民皆保険制度がありますが、どのような恩恵を受けているか理解が浸透しておらず、保険会社に勧められるがままに民間医療保険を契約しているケースもあります。
しかし実は多くの人が考えるより、健康保険(国民皆保険)の「保障」は充実しています。以下3つの公的医療について考えてみましょう。
- 医療保険3割負担
- 高額医療費制度
- 付加給付制度(大企業)
健康保険の保障内容
会社から支給された健康保険証を提示すると、医療機関では「総額の3割」で受診を受けることができます(現役世代の場合)。
これは、毎月給料から支払っている「健康保険」による制度です。この健康保険制度には3割適用のほか、「高額療養費制度」というとても使い勝手の良い制度を利用することができます。
高額療養費制度とは
高額療養費制度とは、同一月のなかでひとつの医療機関にかかった医療費が高額になった場合、所得によって定められた一定の金額(自己負担限度額)を超えた金額が、後日払い戻される制度です。
医療機関の受診時に「限度額適用認定証」を提示することで、高額療養費の適用を申請する方法が一般的です。この自己負担額は、世帯(家族)で合算することもできます。
所得 | 上限額 |
---|---|
年収約1160万円以上 | 252,600円+(医療費-842,000円)×1% |
健康保険(月額83万以上) | |
国民健康保険(年収901万以上) | |
年収約770万円~約1160万円 | 167,400円+(医療費-558,000円)×1% |
健康保険(月額53万~83万未満) | |
国民健康保険(年収600万~901万以下) | |
年収約370万円~約770万円 | 80,100円+(医療費-267,000円)×1% |
健康保険(月額28万~53万未満) | |
国民健康保険(年収210万~600万以下) | |
年収約370万円未満 | 57,600円 |
健康保険(月額28万未満) | |
国民健康保険(年収210万以下) | |
住民税非課税 | 35,400円 |
※70歳から75歳の保険加入者の場合や1年のあいだに3回以上の高額療養費制度利用がある場合には、「多数該当」という適用基準が設けられています。その部分については上記URLをご確認ください。
この制度によってたとえ医療費が300万円、自己負担額が90万円になったとしても全額支払う必要はありません。
年収約370万円~約770万円くらいの人であれば一か月の医療費はたとえ300万円掛かったとしても10万円程度です。
例:80,100円+(医療費300万円-267,000円)×1%
=107,430円
高額療養費制度による保障に関してデメリットも言えば、所得が高いと医療費上限額が上がっていくため、高所得者に対する保障が薄いということです。
社会保障制度はどうしても低所得者保護の福祉の上に成り立っていますので、高い保険料を払うわりに保障まで薄いということが起こりえます。
- メリット:同一月のなかでひとつの医療機関にかかった医療費が高額になった場合、所得によって定められた一定の金額(自己負担限度額)を超えた金額が、後日払い戻される。
- デメリット:所得が高いと医療費上限額が上がっていくため、高所得者に対する保障が薄い。
大企業勤務なら付加給付も
大企業勤務の場合は高額療養費制度の他に「付加給付制度」が設けられている企業も多いです。
それらの環境に恵まれている場合は、もちろんその分の民間保険による保証を「控除」して医療保険に加入するようにしましょう。
また大企業などは民間保険についても社内限定で「優遇の保険料商品」に申し込める場合もあります。拙速に一般の保険商品に加入する前に、そのあたりの情報をしっかりと取得して、活用することが大切です。
さらに職場の健康保険(被用者保険という言い方もあります)であれば、病気休業中に傷病手当金をもらうことができます。
まとめ
死亡保険と医療保険の選び方から、公的保障との関係をお伝えしました。
生命保険は営業マンに勧められ「GNP(義理、人情、プレゼント)」で加入してしまい、自身で加入している生命保険を把握していないという場合もあります。
1カ月単位で見ると微々たる保険料負担でも、何年何十年と積み重なると大きな負担になります。自身の環境に適した保険を優先した「保険選び」をすることが何よりも大切です。
「生命保険に加入したいけどどれがお得なのかわからない」
「保険料の負担がきついから解約しようか迷っている」
「自分にとって一番最適な保険に入りたい」
現在日本で加入できる生命保険会社は数十社にのぼり、各社それぞれたくさんのプランを提供しているため、一人で保険選びをするのは非常に難しいです。
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