アフラックが販売する「給与サポート保険」は、保険の対象となっている人が入院や在宅療養で働けない状態になっている間、あらかじめ決めておいた給付金を毎月受け取れる保険です。
この記事では「給与サポート保険」に加入すべきかどうかを判断するうえで必要なメリットとデメリット(注意点)などについて解説します。
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就業不能保険は収入保障保険とは違う
アフラックの「給与サポート保険」は就業不能保険(所得補償保険)と呼ばれる保険です。
公式サイト:病気やケガで働けなくなったときの給与サポート保険|アフラック
「給与サポート保険」に加入していると、被保険者(保険の対象となっている人)が病気やケガが原因で働くことができない状態になったとき、そうでなければ得られたであろう給料の代わりに保険金を受け取ることができます。
似たようなイメージの保険で「収入保障保険」というものがありますが、これは全く違う保険なので気をつけてください。
就業不能保険は被保険者が生きているときに役立つ保険です。しかし、収入保障保険は被保険者が死亡したときに役立つ死亡保険です。収入保障保険は被保険者が死亡した場合に遺族の生活費をまかなうことが目的で加入する保険だからです。
収入保障保険も高度障害状態と認定されれば保険金を受け取れるので必ずしも死亡が要件ではありません。
ただ両者の違いを大まかに言えば保険の対象となっている人が死亡したときのことを想定して加入するのか、生きているときを想定して加入するのかというところが一番の違いです。
「給与サポート保険」を検討する前に知っておくべきこと
就業不能保険はその必要性について専門家でも意見がわかれますので、加入を急ぐのはおすすめしません。
また商品を検討する前に知っておくべきことがいくつかありますので、その点について解説します。
「働くことができない状態」の定義に注意
就業不能保険は病気やケガが原因で「働くことができない状態」になったときに給付金が支払われますが、この「働くことができない状態」という定義が曲者です。
給付金を支払う基準があいまいだと、いざというときに保険会社に難癖をつけられて支払ってもらえない可能性があります。そのためまずは加入するときに約款に何と書いてあるかを必ず確認してください。アフラックの「給与サポート保険」では「所定の就労困難状態」が60日以上継続した場合という言葉が使われています。
また、精神障害(うつ病や統合失調症など)のときに給付金を受け取れるかどうかという点が商品によって違います。
たとえばライフネット生命の「働く人への保険2」では対象外ですが、チューリッヒ生命の「くらすプラス」ではうつ病等の気分障害やストレス関連障害でも入院して60日以上を経過していれば給付金を受け取ることができます。
精神疾患は給付金支払いの対象外としている保険会社のほうが多いので、精神疾患を保障の対象としてほしいなら選択肢は減ると考えておきましょう。「給与サポート保険」も精神障害は支払いの対象外です。
就業不能保険は本当に必要なのか
この保険が積極的に販売されるようになってきたのは2017年頃なので、名前すら聞いたことがないという人も多くいるでしょう。
この保険が本当に「必要」なのかと言われれば、答えに困るというのが実際のところです。おそらく現場で保険の販売をする人たちも「働くことができない状態」になる確率はどのくらいなのか、本当に給付金を支払ってもらえるのか何とも言えないところではないかと考えられます。
この保険を取り扱っている保険会社は少なかったのですが、ライフネット生命はその数少ない保険会社の1つにあたり、2010年から積極的に販売していました。会長である岩瀬大輔氏は自身のブログの中で給付金支払い事例について述べています。
関連記事:「がん保険のカラクリ」から5年|生命保険立ち上げ日誌
もちろん商品として販売されている以上、給付金を受け取っている人がいるのは当たり前の話ですが、保険会社の経営者が事例について話している例は珍しいので加入を検討している人は読んでみてください。
会社員や公務員は傷病手当金が1年6ヶ月間受け取れる
働けない状態になった場合でも、会社員や公務員であれば健康保険から傷病手当金を1年6ヶ月間、受け取ることができます。
簡単に言えば毎月もらっている給料のおよそ3分の2を傷病手当金として4目目から受け取れるのですが、ボーナスとして支給されている金額は含まれませんので注意してください。なお入院しているかどうかは条件にはなりませんので在宅療養も対象になります。
そのため会社員や公務員なら就業不能保険はあわてて加入する保険ではありません。傷病手当金については以下のサイトをご覧ください。
「給与サポート保険」で検討するべきポイント
「給与サポート保険」ではどんなときに給付金が受け取れるのか、そして他社商品と比べてどんな点に注意すべきなのかを解説します。
「給与サポート保険」の仕組み
アフラック「給与サポート保険」では「就労困難状態」に該当し、その状態が60日以上継続すると給付金を受け取れます。
給付金は以下2種類があります。
- 「短期回復支援給付金」
- 「長期療養支援給付金」
「短期」とは就労困難状態が60日間継続してから1年半(17回目の給付金を受け取るまで)で、「長期」はそれ以降の期間です。
長期療養支援給付金は日数の制限がなく、保険期間が終了するまで就労困難状態に該当していればずっと受け取ることができます。
「給与サポート保険」が他社商品と違う点
「給与サポート保険」の特徴は以下の点です。
- 就労困難状態に該当すれば6回目までは生存している限り給付金を受け取れること
- 満期まで無事故の場合は無事故支払金を受け取れること
一般的な就業不能保険は就労困難状態でなくなれば給付金を受け取れなくなりますが、「給与サポート保険」は短期回復支援給付金の支給要件に該当すれば、その後短期間で該当しなくなっても6回目までの給付金は受け取ることができます。
また、何事もなく保険期間が終了した場合は長期療養支援給付金と同額を受け取ることができます。
要するに満期まで生存していれば掛け捨てにならず少しはお金を受け取れるということですが、保険としての必要性から考えられた給付と言うよりはお得感の演出ではないかと考えられます。
「給与サポート保険」の保険料の目安
2018年8月20日現在、ホームページで試算した結果を参考までに掲載しておきます(単位:円)。
条件は短期回復支援給付金・長期療養支援給付金ともに月15万円、被用者保険加入者(会社員や公務員等)です。
保険料を見る限り、決して安易に加入できる金額ではないと感じる人が多いのではないでしょうか。
男性 | 女性 | |
25歳 | 4,140 | 4,200 |
30歳 | 4,515 | 4,560 |
35歳 | 4,965 | 4,890 |
40歳 | 5,340 | 5,250 |
45歳 | 6,000 | 5,790 |
「就労困難状態」とは
就労困難状態を簡単に説明すると、以下のいずれかに該当した状態です。
- 入院して治療に専念していること
- 自宅等で医師の管理下において計画的な治療に専念しており、外出が困難であること
- 国民年金の障害等級1級または2級に認定されること
厳密に正確な説明ではありませんが、上記のいずれかに該当することが給付金を受け取る条件です。入院しているときはあまり問題になりませんが、在宅療養の場合は給付金の支給要件に該当しているかどうかについて保険会社から厳しく見られる可能性があります。
なお国民年金の障害等級1級または2級に該当しているのであれば、国から障害年金を受け取ることができます。
そのため、それと別に給付金を受け取る必要性があるかといえばそうではありませんが、障害年金だけでは暮らせないと考えるなら検討の余地はあります。そのため「給与サポート保険」に加入するかどうかの判断は慎重に行ったほうが良いでしょう。
まとめ
就業不能保険は加入すべきかどうかの判断や、どの商品を選ぶべきかという判断がかなり難しい保険です。
代理店で説明を受けた場合「最近、人気の商品なんです」と説明されれば加入したほうがいいのかなと考えるかもしれませんが、安易な加入はおすすめしません。
「給与サポート保険」は加入することを前提で検討せず、その必要性をよく考えることから始めてみてください。
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