子どもの教育資金として必要なお金を用意するのが目的の学資保険ですが、中には「元本割れ」を起こすプランがあります。
払ったお金より戻ってくるお金が少なくなると、貯蓄としての意味がありません。
「どうして元本割れが起こるのか、その仕組みと元本割れを起こさない保険の見分け方について」説明します。
Contents
元本割れを起こす学資保険の一例
実際にどんなプランが元本割れを起こすのか、一例を挙げてみます。
かんぽ生命
こちらのプランは、子どもが入院した時や手術した時などに一時金が出る医療特約が標準でセットされています。
祝い金や育英年金の特約を付けなくても、医療保障の部分を充実させるだけで返戻率が100%を切ってしまいます。
かんぽ生命の場合 | |
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返戻率 | 99.0% |
払込期間 | 18年 |
保険料の支払い総額 | 2,020,000円 |
給付金の受取り総額 | 2,000,000円 |
プランの内容 | ・祝い金:なし ・養育年金特則:なし ・医療特約:あり(入院一時金、手術一時金) |
毎月の保険料 | 9,360円 |
※ 契約者は30歳男性で計算しています。 |
JA共済
こちらは、育英年金の特約をつけただけで返戻率が93.6%になるプランです。
毎月の保険料は10,000円以内ですが、保障部分にいかにお金がかかるのか分かります。
JA共済の場合 | |
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返戻率 | 93.6% |
払込期間 | 18年 |
保険料の支払い総額 | 2,134,944円 |
給付金の受取り総額 | 2,000,000円 |
プランの内容 | ・祝い金:なし ・医療特約:なし ・養育年金特則:あり |
毎月の保険料 | 9,884円 |
※ 契約者は30歳男性で計算しています。 |
どうして元本割れが起こるのか
「元本割れ」は支払った総額より受け取る総額が低くなることを言います。
学資保険で元本割れを起こすプランは以下のものがあります。
- 主に進学のタイミングで支払われる祝い金や子どもの医療保障
- 育英年金などの特約が多くついているもの
契約者にとっては手厚い保障を付けることで万が一の時に備えることができますが、保険会社にとっては何か起こった時に支払う機会が増えるので、リスクを抱えることになります。
そのため、保障を付けないプランより返戻率を下げることで、最終的な支払い総額を抑えています。
元本割れの原因となる保障(特約)
元本割れを起こすのは、返戻率が低いことが原因です。
上記のプランを見てもらうと分かるように、保険会社は主な契約部分である貯蓄以外の保障については、返戻率を下げることでリスクを抑えようとします。
では、保障の内容にはどんなものがあるのでしょうか?
進学時のお祝い金
小学校や中学校、高校など、進学のタイミングで支払われる一時金です。
「お祝い金」という名称が一般的ですが、内訳は自分が支払った保険料から出ています。
学用品や学費の資金として有効ですが、保険会社にとっては保険金を数回に分けて支払うことになるのでリスクとなります。
子どもの医療保障
子どもが怪我をした時や入院した時に支払われる一時金です。
日帰り入院など短い日数でも支払われることが多く、これも保険金を支払う機会が増えるので保険会社にとってはリスクです。
スポーツなどの部活動、不慮の事故に遭った時など怪我に備えることができますが、「乳幼児医療費助成制度」や「義務教育就学児医療費助成制度」など、子どもは医療費が安く抑えられるさまざまな制度があるので、あえて学資保険につける必要はないとも言えます。
また怪我や病気によっては先進医療が必要になる場合がありますが、学資保険の保障はそこまでカバーしていないのが現状です。
育英年金
契約者が死亡した場合に、毎年20万円~50万円が育英年金として支給されます(支給額はプランによります)。
契約者にもしものことが起こった時の備えになりますが、何もなかった場合は無駄になる保障です。
生命保険などほかの保険で死亡保障がある場合は、学資保険に付ける必要はありません。
※ 契約者が死亡した場合に以後の保険料が免除になる保障は、基本的にすべてのプランに標準でついています。
元本割れを起こさない学資保険とは
元本割れを起こさない学資保険とは、返戻率が高いプランということになります。
上記のような一時金が出る保障がなく、貯蓄性を優先した内容です。
保障を付けないプランを選ぶほかにも、保険料の年払いや一括払い、短い期間で払い終えることで、返戻率を上げることができます。
- 返礼率が高い
- 保険料の年払いや一括払い
返戻率が高いプランの一例
具体的なプランを挙げてみます。
ソニー生命
保険料の支払いを10歳の時に終えることで、115.9%という高い返戻率で運用できるプランです。
祝い金の特約はありませんが、18歳から5年間学資金として毎年40万円が支給されます。
子どもの年齢が10歳の時に保険料を払い終えるプラン | |
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返戻率 | 115.9% |
払込期間 | 10年 |
保険料の支払い総額 | 1,724,160円 |
給付金の受取り総額 | 2,000,000円 |
プランの内容 | ・祝い金の設定:なし ・18歳から5年間40万円ずつ支給される |
毎月の保険料 | 14,368円 |
※ 契約者は30歳男性で計算しています。 |
元本割れする保険に加入している場合は?
すでに加入している学資保険が元本割れを起こしている場合でも、内容を見直せば改善できることがあります。
- 特約を外して少しでも返戻率を上げる
- 残りの保険料を一括で支払って返戻率を上げる
- 払い済み契約に変更して、今まで支払った保険料のみで満期まで運用してもらう
- まだ契約年数が少ない場合(支払った保険料が多額でない場合)はほかのプランに変更する(保険会社を変更する)
現在は保険について無料で相談できる窓口などもあります。悩んだら専門家に相談することをお勧めします。
元本割れを起こしているプランの改善例
最初に挙げた「かんぽ生命」と「JA共済」のプランについて、具体的な改善例を出してみます。
かんぽ生命の場合
保障部分はそのままで、保険料の支払いを12歳で終わらせるプランに変更すると返戻率が103%となります。
毎月の保険料は高くなりますが、医療保障を保ったまま高い利率で貯蓄もできることになります。
かんぽ生命の場合(12年で払い終えるプラン) | |
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返戻率 | 103% |
払込期間 | 12年 |
保険料の支払い総額 | 1,940,000円 |
給付金の受取り総額 | 2,000,000円 |
プランの内容 | ・祝い金:なし ・養育年金特則:なし ・医療特約:あり(入院一時金、手術一時金) |
毎月の保険料 | 13,480円 |
※ 契約者は30歳男性で計算しています。 |
JA共済の場合
「養育年金特則」を外します。
保険料も下がる上に108%という高い返戻率で運用ができます。
JA共済の場合(養育年金特則なしのプラン) | |
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返戻率 | 108.9% |
払込期間 | 18年 |
保険料の支払い総額 | 1,836,432円 |
給付金の受取り総額 | 2,000,000円 |
プランの内容 | ・祝い金:なし ・医療特約:なし ・養育年金特則:なし |
毎月の保険料 | 8,502円 |
※ 契約者は30歳男性で計算しています。 |
まとめ
学資保険の元本割れは、貯蓄以外の保障の部分を手厚くすることで起こります。
ほかに代わりがあるものや不要なものは外してしまう方が返戻率が上がり、元本割れのリスクを防げます。
貯蓄を優先するのであれば、保障の少ないプランを選びましょう。
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