自動車保険

セゾン「おとなの自動車保険」は「おとな」だけが有利なの?メリットとデメリットを解説

セゾン自動車火災保険の「おとなの自動車保険」は40代と50代を主なターゲットとした自動車保険です。

40代と50代を強調しているため「40代と50代以外は加入できないの?」とか「40代と50代なら他の保険会社よりも保険料が安いの?」といった疑問が浮かぶのではないでしょうか。

そこで、この記事ではおとなの自動車保険に関するこうした疑問を検証し、合わせてメリットやデメリットについて整理します。

「おとなの自動車保険」が40代・50代を主なターゲットとするのは事故率が低いから

おとなの自動車保険ではホームページに「40代・50代の保険料を割安に」とはっきり書かれています。

おとなの自動車保険が40代と50代をターゲットにする理由は、他の世代よりも事故率が低いからです。

これが本当なのかどうか調べてみました。

警察庁の交通局が公表している「平成29年中の交通事故の発生状況」によると、平成29年の年齢層別の交通事故件数は以下のとおりです(この数値は原付以上のバイクも含まれます。また、事故の当事者のうち最も過失の大きい人をカウントしています)。

年齢 件数
16~19歳 1649.9
20~24歳 979.7
25~29歳 697.4
30~34歳 541.1
35~39歳 486.1
40~44歳 476.4
45~49歳 474.4
50~54歳 450.5
55~59歳 446.5
60~64歳 461.4
65~69歳 478.4
70~74歳 497.6
75~79歳 581.8
80~84歳 630.5
85歳以上 712.2

データ引用元:平成29年中の交通事故の発生状況|警察庁交通局

この数値は免許保有者10万人あたりの件数です。そのため、件数が少ない=事故率が低いということです。

これを見ると、確かに40代と50代の事故率は低いということがわかります。しかし、30代や60代も大差ないようにも見えますね。

「おとなの自動車保険」のメリット

次に、おとなの自動車保険のメリットを見ていきましょう。

自動車保険を比較するときは保険料はもちろんですが、その前に必要なサービスがそろっているかどうかを確認しましょう。特に事故対応の体制やロードサービスは大事です。以下ではこうしたポイントについて解説します。

保険料はリスク細分型

おとなの自動車保険では、保険料の計算方法として「リスク細分型」を採用しています。

自動車保険の保険料は車種や年齢などによってもともとリスクが細分化されていますが、おとなの自動車保険ではさらに過去1年間の走行距離をもとにして以下の5つに細分化し、保険料を変えています。

  • 3,000km以下
  • 3,000km超~5,000km以下
  • 5,000km超~10,000km以下
  • 10,000km超~15,000km以下
  • 15,000km超

一般的に走行距離と事故のリスクは比例すると考えられるので、保険料の区分がきめ細かくわかれていればより公平と言えるでしょう。特にそれほど走行距離が多くない人にとってはありがたいはずです。

割引プランが豊富

おとなの自動車保険では以下のとおり、割引プランが豊富に用意されています。

  • インターネット割引

インターネットを通じて契約すると1万円の割引になります。新規のときだけでなく継続でも割引になるのがポイントです。

  • 早割50日前、早割30日前

契約始期日・満期日の前日から数えて50日前までに契約が完了すると年間600円、30日前までに完了すると年間400円が割り引かれます。

  • 自動ブレーキ(ASV)割引

契約車両がAEB(衝突被害軽減ブレーキ)を装備している自家用自動車の場合、保険料が9%の割引となります。ただし、適用されない項目もあるので保険料全額に対して9%が割り引かれるわけではありません。

  • 電気自動車・ハイブリッド車の割引

契約車両が電気自動車かハイブリッド車の場合、保険料が1200円割り引かれます。

  • ゴールド免許割引

記名被保険者(主に車を運転する人)の免許証の色がゴールドなら一定の割引を受けられます。

  • おとなの2台目割引

現在、契約中の車両がある人が追加で2台目以降の車も契約すると、2台目以降の車両に対する保険料が600円割引されます。

インターネット割引は割引額が大きいので、ぜひ活用したいところですね。また、AEBが装備されているなら保険料が安くなりそうです。

ただし保険料は個々の条件で違うので、複数の保険会社を比較するのがおすすめです。

保険料以外の要素を満たしている保険会社をまずピックアップし、最後は保険料で決めるというわけです。

事故対応力が優れている

おとなの自動車保険では、交通事故が起きたときにALSOKの警備員を現場に派遣してもらうことができます。

交通事故はまったく経験したことがないという人も多いでしょうが、気が動転して適切な対応ができないことも珍しくありません。そのため、現場に味方が来てくれるというのはとても心強いです。

経験したことがないとわからないでしょうが、加害者はなるべく自分の責任を少なくしたいと考えるのでウソをついたり必要なことを話さなかったりします。しかし、警備員なら相手を威嚇(?)できるでしょうから、その心配が減ります。

おとなの自動車保険を契約すると「つながるボタン」という装置が自宅に送られてきます。


引用元:おとなの自動車保険

これを車に装着しておけば、いざというときはこのボタンを押すだけでALSOKの隊員が現場に来てくれるのでとても簡単です。

また「つながるアプリ」をインストールしておけば所定のボタンをタップするだけで事故受付センターにつながり、オペレーターと話すことができます。そして、同時に事故が起きた場所も瞬時に特定されます。

ここまで交通事故が起きたときの対応が整っている保険会社はあまりないので、交通事故が不安ならおとなの自動車保険は有力な選択肢になるでしょう。

交通事故が不安なら、警備員が来てくれるサービスはおすすめです。

ロードサービスが特約なので付加しないことができる

おとなの自動車保険には充実したロードサービスが用意されています。

事故や故障で自走できなくなった車両のレッカー移動はもちろんバッテリー上がりやキーとじ込みの対応、宿泊費用などの負担など一通りそろっています。

ロードサービスは加入すると必ずついてくることが多いので、JAFなどのロードサービス専門の会社と契約していると重複してしまいます。

しかし、おとなの自動車保険ならオプションなので外すことができます。もちろんその分保険料は安くなります。

個人賠償責任特約の保険金額を無制限にできる

個人賠償責任特約とは日常生活において他人にケガをさせたり、他人の物を壊したりしたときの賠償責任をカバーする保険です。

個人賠償責任特約は自転車保険としても使えます。自転車事故は最高で9500万円くらいの賠償金支払い命令が出たこともあるので、無制限で加入できれば安心です。

非常にコストパフォーマンスが良い保険なので、個人賠償責任にはぜひ加入してほしいところです。

ただし、この補償は他の保険(火災保険や傷害保険、クレジットカード)などにもついていることがよくあります。そのため補償が重複しやすいので、付加するかどうかを決めるときは他の保険についていないかどうかをよく確認しましょう。

関連記事:個人賠償責任保険はコスパ最強。必ず加入しよう!

個人賠償責任保険は重複に注意しましょう。

「おとな」以外は加入する価値はないのか?

おとなの自動車保険のホームページを見て「40代と50代以外は加入できないの?」とか「40代と50代は他の保険会社よりも保険料が安いの?」という疑問を持ちませんでしたか?ここではその点を検証します。

他の条件を同じにし、おとなの自動車保険を含めた5社の保険料を比較してみました。試算の条件は以下のとおりです。

  • 補償の対象:記名被保険者とその配偶者
  • 車種:トヨタ アクア NHP10(新車)※過去に乗っていた車はなし
  • 免許証の色:ブルー
  • 使用目的:日常・レジャー
  • 対人賠償・対物賠償:無制限
  • 人身傷害保険:3000万円(車内のみ補償)
  • 対物全損時差額修理費用補償:あり
  • 予想走行距離:5000km以下
  • 等級:6等級
  • 証券不発行割引あり
  • 車両保険:なし
  • 居住地域:東京都

年間保険料は以下のとおりです(単位:円)。

セゾン ソニー損保 東京海上 あいおい SBI損保
21歳 115,720 90,670 79,610 117,930 73,420
25歳 71,970 90,670 79,610 117,930 72,720
30歳 48,930 48,060 62,600 82,920 39,080
35歳 42,180 48,060 56,650 81,240 39,080
40歳 41,920 47,880 54,440 78,690 39,490
45歳 43,080 47,880 54,440 78,690 39,490
50歳 43,730 47,930 53,950 77,610 38,590
55歳 41,350 48,010 53,950 77,610 38,590
60歳 44,660 49,250 56,680 84,370 43,440

試算結果を見ると保険料は決して40代と50代だけが安いという結果になっていません。35歳や60歳も大差ないですね。

そのため「おとな」以外でも検討の余地があると言えるでしょう。

「子供が運転してもうれしい」は本当か?

おとなの自動車保険では同居の子供が車を運転するようになった場合、他社よりも保険料が安いとアピールしています。ここではそれが本当なのかどうか検証します。

20歳の子供(同居)が免許をとって車の運転をするようになった場合の保険料を試算した結果は以下のとおりです。

セゾン ソニー損保 東京海上 あいおい SBI損保
40歳 73,590 212,490 144,480 216,760 168,340
45歳 74,510 212,490 144,480 216,760 168,340
50歳 74,770 212,490 144,480 216,760 168,340
55歳 73,220 212,490 144,480 216,760 168,340

こちらは各社で非常に大きな差がでました。おとなの自動車保険はホームページでアピールしているとおり、確かに安いですね。

若い子供がいる場合は保険料をしっかり試算することが大事ですね。

まとめ

子供がいない場合の保険料を比較すると、決して40代・50代の保険料だけが安いわけではありません。

しかし子供がいる場合は他社よりもかなり保険料が安いという結果になりました。もしかしたら、セゾンが40代・50代を強調する理由はここにあるのかもしれません。

もちろん保険料は条件によって変わるので大きな個人差があります。今回、試算した結果はあくまで参考としてとらえてください。

大事なことは、面倒がらずに保険料の見積もりを取るということです。これだけ保険会社によって違うなら、手間がかかっても見積もりを取る気になりますよね。

ぜひ次の契約からは比較してみてください。

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