車両保険を使用すると等級が下がってしまい、翌年から支払う保険料は高くなってしまいます(等級制度と呼ばれるシステムです)。
「車両保険を使用して修理費を補償してもらったほうが得なのか」
「自費で修理費を支払って保険料を抑えたほうが得なのか…」
特に自損事故の場合は迷ってしまうことが多くなるでしょう。
本ページでは「自損事故で車両保険を使うべきなのか迷ったときに確認しておくべきポイント」を詳しく解説します。
Contents
修理費が保険料の1.5倍以上が目安
結論から言うと、車の修理費が保険料のおおよそ1.5倍以上なら車両保険を使ったほうがお得になります。
実際に保険を使用した場合と保険を使用しなかった場合では、保険料にどのくらいの差が出るのかを具体例としてご紹介します。
保険を使った場合・使わなかった場合の保険料試算
9等級の人が3等級ダウンの事故をした場合
現在:保険料割引前10万 無事故9等級(43%割引)で57,000円
保険を使わなかった場合 | 保険を使った場合 | ||
---|---|---|---|
等級 | 割引率と保険料 | 等級 | 割引率(事故有) |
10等級 | 45% 55,000円 |
7等級 | 20% 80,000円 |
11等級 | 47% 53,000円 |
8等級 | 21% 79,000円 |
12等級 | 48% 52,000円 |
9等級 | 22% 78,000円 |
13等級 | 49% 51,000円 |
10等級 | 45%(無事故) 55,000円 |
合計 | 211,000円 | 合計 | 292,000円 |
4年間の合計を見ると、その差額は81,000円となります。つまり修理費が81,000円以上するなら車両保険を使っても大きな損をすることはありません。
逆に81,000円以下の修理費を保険を使って補償してもらうと、後々保険料が81,000円以上アップすることになるため、損をしてしまいます。
この差額は元の1年間の保険料57,000円の約1.5倍となります。保険を使用して3等級ダウンすると、元の保険料の1.5倍ほどの保険料が上乗せされると覚えておくといいでしょう。
免責金額も加えて計算に入れる必要がある
車両保険には「免責」と呼ばれる自分が負担する金額が設定されています。
免責金額の多くは2段階設定となっていて、1回目の事故で車両保険を使う場合は5万を自己負担・2回目は10万を自己負担(ゴ・ジュウ)といったように数万ほど自己負担金を支払わなければなりません。
免責金額は自分で設定することができます。免責金額を高くするほど保険料は安くなります。自己負担金を0円にすることも可能です。
参考記事:自動車保険の車両保険の免責とは?いくらに設定すべきか
「修理費が保険料の1.5倍以上なら損をすることが無い」とご紹介しましたが、ここに自己負担額となる免責金額も計算に入れておく必要があります。
上記の例で考えると、<85,000円+免責金額>よりも高い修理費がかかるなら大きな損をすることにはなりません。免責金額が5万の場合は13万5千円以上となります。
車両保険を使用するかどうかは、修理費が<元の年間保険料×1.5+免責金額>を上回るかどうかを1つの判断材料としておくといいでしょう。
等級が低い場合は極力保険を使わないほうが良い
上記の例では4年間分の保険しか試算していません。しかし3等級ダウンすると4年目以降も等級には差が開いており、保険を使った場合の方が割高な保険料を支払うことになります。
この金額の差は、等級が上限である20等級になるまで埋まることはありません。事故をしたときの等級が低いと、保険を使った場合とそうでない場合の差が埋まるまでに時間がかかります。
つまり、等級が低いと割高な保険料を支払う期間が長引くため極力保険を使わないほうが良いと言えます。
事故歴は極力少ない方が良い
車両保険を使うと「事故歴」が残ります。事故歴が残ると等級が下がって保険料が高くなるだけではなく、他にもデメリットが生じます。
例えば1年間で2回以上保険を使用すると「事故の多い契約者」とみなされ、保険の更新が出来なくなる可能性があります。
更新前にお知らせのハガキがきたり、電話で連絡があり「翌年以降は更新できない」と言われてしまうと強制的に解約となってしまいます。
「更新できないなら、他の自動車保険に加入すればいい」と思う方も多いでしょう。しかし一度更新できずに解約となると、他社での契約も断られてしまうケースが多くなります。
特に等級が低い場合や、保険料の安いダイレクト型保険の場合は断られてしまうことが多いです。
まとめ:軽微な修理の時には車両保険を使わないように注意
等級が低いうちは保険を使うと結果的に損をしてしまう可能性が高くなります。
「補償を受けられないと生活が厳しくなってしまう」
「手持ちのお金がなく、どうしても補償金が欲しい」
上記の場合を除いて、基本的には使わないようにしておきましょう。
修理費が高く、保険を使うべきか悩んだ時は保険料の1.5倍+免責金額を1つの目安として考えましょう。
補償が受けられても、損をしてしまっては保険の意味がありません。くれぐれも安易に車両保険を使うことが無いように注意してください。