医療保険

訪問看護サービスを利用する場合、介護保険と医療保険のどちらを使う?

訪問看護サービスは医師の指示があれば誰でも利用できますが、年齢や症状のほか要支援または要介護認定を受けているかどうかによって公的介護保険を使うのか公的医療保険を使うのかが変わってきます。

この記事では訪問看護サービスを利用するにあたり、どのようなときに介護保険が使われてどのようなときに医療保険が使われるのか、またどこが違うのかなどについて解説します。

訪問看護で行われること

訪問看護は医師の指示によって行われ、点滴や静脈注射、カテーテルや在宅酸素療法の管理、食事や排泄の援助、リハビリテーション、緩和ケアや看取りまで幅広く対象とされています。

訪問看護というと高齢者が利用するものというイメージがあるかもしれませんが、症状によっては若い人でも必要とする人がいるので全年齢が対象となります。そして、訪問看護において行われるのは医療行為が多いので、介護保険の被保険者が利用する場合は介護保険で利用するのか医療保険で利用するのか迷うかもしれません。

しかし、介護保険を利用できる人が訪問看護を利用する場合は基本的に介護保険が適用され、医療保険が適用されるのは一定の条件を満たすときだけとなっています。

介護保険と医療保険のそれぞれが適用される場合

介護保険と医療保険のどちらを使うのかという話は介護保険の被保険者ごとにみるとわかりやすくなりますので、年齢ごとに区切って解説します。

年齢ごとの解説

訪問看護サービスはどちらの保険を使っても受けられるサービスの内容は同じですが、以下のように適用される保険が変わります。

40歳未満

40歳未満の人は公的介護保険の被保険者ではないので介護保険が適用されることはありません。

訪問看護サービスが必要なときはすべて医療保険を使って訪問看護サービスを受けることになります。原則として週3日までという制限があります。

40歳~64歳(介護保険の第2号被保険者)

40歳から64歳までの人は「特定疾病」に該当すると介護保険が利用できます。

介護保険が利用できる人が訪問看護サービスを利用する場合は基本的に介護保険を使いますが、以下の場合は医療保険が適用されます。

  1. 「厚生労働大臣が定める疾病等」を原因として利用するとき
  2. 「厚生労働大臣が定める状態等」を原因として利用するとき
  3. 特別訪問看護指示書がある場合

65歳以上(介護保険の第1号被保険者)

65歳以上の人で要支援または要介護認定を受けていれば原則として介護保険が使われますが、40歳から64歳の人と同様のケースでは医療保険が適用されます。

なお特別訪問看護指示書が発行される場合は以下の3つです。

  1. 肺炎や心不全などの急性増悪
  2. 病気の種類を問わず終末期であること
  3. 退院直後

これがあると医療保険の利用制限を超えて訪問看護サービスを利用することが可能になります。

関連記事:意外と知られていない訪問看護の基礎知識2|佐久総合病院グループ

特定疾病とは

40歳~64歳の人が介護保険を利用できる「特定疾病」は、以下のものが該当します。

がん(末期) 脊柱菅狭窄症
関節リウマチ 早老症
筋萎縮性側索硬化症 多系統萎縮症
後縦靭帯骨化症 糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症および糖尿病性網膜症
骨折を伴う骨粗鬆症 脳血管疾患
初老期における認知症 閉塞性動脈硬化症
進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症およびパーキンソン病 慢性閉塞性肺疾患
脊髄小脳変性症 両側の膝関節または股関節に著しい変形を伴う変形性関節症

「厚生労働大臣が定める疾病等」(別表7)とは

医療保険が適用される「厚生労働大臣が定める疾病等」は以下のものが該当します。

末期の悪性腫瘍 プリオン病
多発性硬化症 亜急性硬化性全脳炎
重症筋無力症 ライソゾーム病
スモン 副腎白質ジストロフィー
筋萎縮性側索硬化症 脊髄性筋萎縮症
脊髄小脳変性症 球脊髄性筋萎縮症
ハンチントン病 慢性炎症性脱髄性多発神経炎
進行性筋ジストロフィー症 後天性免疫不全症候群
パーキンソン病関連疾患 頸髄損傷
多系統萎縮症 人工呼吸器を使用している状態

引用元:訪問看護(参考資料)2ページ|厚生労働省

「厚生労働大臣が定める状態等」(別表8)とは

医療保険が適用される「厚生労働大臣が定める状態等」は以下のものが該当します。

  1. 在宅悪性腫瘍等患者指導管理若しくは在宅気管切開患者指導管理を受けている状態にある者又は気管カニューレ若しくは留置カテーテルを使用している状態にある者
  2. 以下のいずれかを受けている状態にある者
  • 在宅事故腹膜灌流指導管理
  • 在宅血液透析指導管理
  • 在宅酸素療法指導管理
  • 在宅中心静脈栄養法指導管理
  • 在宅成分栄養経管栄養法指導管理
  • 在宅自己導尿指導管理
  • 在宅人工呼吸指導管理
  • 在宅持続陽圧呼吸療法指導管理
  • 在宅自己疼痛管理指導管理
  • 在宅肺高血圧患者指導管理
  • 人工肛門又は人工膀胱を設置している状態にある者
  • 真皮を超える褥瘡の状態にある者
  • 在宅患者訪問点滴注射管理指導料を算定している者

引用元:訪問看護(参考資料)2ページ|厚生労働省

介護保険と医療保険の自己負担割合の違い

介護保険を使う場合でも医療保険を使う場合でも、受けるサービスについては基本的に同じです。ただし、負担する費用については年齢などの条件によって違いがあります。

医療保険の場合

医療保険を使う場合の医療費の負担割合は以下のとおりです。


引用元:我が国の医療保険について|厚生労働省

なお、医療費の自己負担額が一定の計算式によって算出された金額を超える場合は払い戻しを受けることができます。これを高額療養費制度といいます。

自己負担限度額の計算方法は年齢によって違いますが、ここでは70歳以上のもののみ掲載しておきます。詳しくは厚生労働省のサイトをご覧ください。

関連記事:高額療養費制度を利用される皆さまへ|厚生労働省

適用区分 ひと月の上限額(世帯ごと)
外来(個人ごと)
現役並み 年収約1,160万円~ 252,600円+(医療費-842,000円)×1%
年収約770~約1,160万円 167,400円+(医療費-558,000円)×1%
年収約370~約770万円 80,100円+(医療費-267,000円)×1%
一般 年収156~約370万円 18,000円
(年14万4,000円)
57,600円
住民税非課税等 Ⅱ 住民税非課税世帯 8,000円 24,600円
Ⅰ 住民税非課税世帯
(年金収入80万円以下など)
15,000円

介護保険の場合

介護保険を利用する場合の自己負担割合は第1号被保険者の場合、所得などによって以下のように負担割合が違います。なお第2号被保険者の場合はすべて1割負担です。

  • 本人の合計所得金額が220万円以上・・・1割~3割
  • 本人の合計所得金額が160万円以上220万円未満・・・1割または2割
  • 本人の合計所得金額が160万円未満・・・1割
  • 市区町村民税非課税、生活保護受給者・・・1割負担

介護サービスの利用限度額は要支援または要介護の段階によって違いがありますが、限度額を超えた場合は高額介護サービス費として払い戻しを受けることができます。限度額は以下の通り、世帯上限と個人の上限があります。

  • 現役並み所得者に相当する人がいる場合・・・4万4400円(世帯)
  • 世帯のうち1人以上が市区町村民税を課税されている場合・・・4万4400円(世帯)
  • 世帯の全員が市区町村民税を課税されていない場合・・・2万4600円(世帯)
  • 世帯の全員が市区町村民税を課税されていない場合で、前年の合計所得金額と公的年金収入額の合計が80万円以下の場合・・・2万4600円(世帯)、1万5000円(個人)
  • 生活保護を受給している場合・・・1万5000円(個人)

なお世帯のうち1人が市区町村民税を課税されている場合、同じ世帯におけるすべての65歳以上の人が1割負担の場合は年間上限額44万6400円も設定されます。

まとめ

訪問看護サービスを利用する場合、介護保険と医療保険の両方で被保険者となる人は原則として介護保険が適用されます。

これは利用者が選択するという性質のものではなく自動的にどちらか決まるものなので、利用者がどちらなのか迷うものではありません。ただし一般の人では判断がしにくい点でもあります(以下の資料の後半で例が掲載されています)。

関連記事:医療保険の訪問看護は在宅利用のカギです!|医療法人 ゆうの森

わからない場合は考えても仕方がないので訪問してきた看護師に聞くか、サービスを利用するときに訪問看護ステーションや医療機関に問い合わせるのが良いでしょう。

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