医療保険

医療保険とは何か、公的医療保険と民間医療保険の違いをわかりやすく解説

日本は国民皆保険制度を採用しているため、すべての人が何らかの公的医療保険(健康保険)に加入しています。

民間の医療保険は公的医療保険でカバーできない部分を補う性質をもつ商品のため、商品を選ぶときは公的医療保険についての知識が必要です。

そこでこの記事では公的医療保険と民間医療保険の違いを意識して、それぞれについて解説します。

公的医療保険制度について

公的医療保険制度はとても優れた制度です。まずは年齢ごとにどの公的医療保険に加入するのか、年をとったらどうなるのかということを把握しましょう。

公的医療保険の全体像

日本では国民皆保険制度を採用しているため、すべての国民は以下のいずれかの公的医療保険に加入しています。

被用者保険の「被用者」とは雇用されている人を総称。

  • 国民健康保険
  • 被用者保険

国民健康保険

自営業者と自営業者に扶養されている人、引退した75歳未満の人が主に加入するもの。市区町村が運営する国民健康保険と業種ごとに運営されている健康保険組合がある。

被用者保険

  • 健康保険組合・・・主に大企業の会社員が加入
  • 協会けんぽ(全国健康保険協会)・・・主に中小企業の会社員が加入
  • 共済組合・・・公務員が加入
  • 後期高齢者医療制度・・・75歳以上の人が加入

会社員や公務員が定年退職すれば一般的には国民健康保険に加入し、75歳になると後期高齢者医療制度に加入することになります。

自営業者であれば74歳まで国民健康保険または業種ごとの健康保険組合に加入し、75歳で後期高齢者医療制度に移行します。

公的医療保険が適用されない医療もたくさんある

世の中には多くの医療技術(治療法、検査法など)がありますが、そのすべてについて健康保険が使えるわけではありません。健康保険は厚生労働省による所定の審査を経て、認められたものだけが対象となります。

健康保険が適用されない医療技術として有名なのは、民間医療保険が保障対象としている「先進医療」です。

先進医療は厚生労働省が公的医療保険を適用するかどうかの審査を行っている段階の医療技術で、2018年9月1日現在で93種類が対象となっています。先進医療は公的医療保険が適用されない医療技術のうちごく一部にすぎません。

公的医療保険が適用されない医療を受けるときの費用はすべて患者の自己負担となります。ただし先進医療に指定されている医療技術の場合、一般の医療と共通する部分(診察や検査など)については健康保険が使えるので、その分だけ負担が減ることになります。

公的医療保険が適用されない医療を受ける例として多いのはがんの治療です。

未承認の抗がん剤を使用したり、標準治療ではない免疫療法を受けたりしたときです。こうした治療を利用するのは健康保険が使える治療では治らないと医師から言われたときですが、これらはエビデンス(根拠となるデータ)が十分でないということは知っておくべきでしょう。

公的医療保険がカバーする範囲

公的医療保険制度において、私たちが負担する医療費ついてまとめました。民間医療保険を検討するなら加入する前によく理解しておいてください。

年齢ごとに負担する割合は異なる

私たちが公的医療保険の使える治療(標準治療といいます)を受けた場合、医療機関で保険証を提示すれば医療費の一部を負担するだけで済みます。負担割合は年齢によって以下のように定められています。


引用元:我が国の医療保険について|厚生労働省

上記の負担割合が基本ですが、入院したりがんの治療のような通院でも高額な医療費がかかる医療を受けたりした場合はさらに負担を減らす仕組みがあります。それが次に説明する高額療養費制度です。

医療費が高額になる際には高額療養費制度が適用可能に

たとえば風邪をひいて医療機関を受診した場合、窓口で負担するのは2,000円~3,000円程度です。これは病院で発生した医療費のに自己負担割合を乗じた金額です。そのため医療機関において発生している医療費は1万円程度ということになります。

しかし入院して手術をしているような場合は100万円を超える医療費が生じることも珍しくありません。治療の種類によっては1,000万円を超えることもあります。このようなときは3割であってもかなりの金額になります。

こうした場合は「高額療養費制度」という仕組みを使うことで自己負担額を減らすことができます。高額療養費制度を利用する場合、自己負担額は以下のように計算します。計算方法は70歳以上の場合と69歳以下の場合で異なっていますので注意してください。

(69歳以下)※「年収」は目安です。正確な計算方法を知りたい方は引用元の記事をご覧ください。

適用区分 ひと月の上限額(世帯ごと)
年収約1,160万円~ 252,600円+(医療費-842,000円)×1%
年収約770~約1,160万円 167,400円+(医療費-558,000円)×1%
年収約370~約770万円 80,100円+(医療費-267,000円)×1%
~年収約370万円 57,600円
住民税非課税者 35,400円

 

(70歳以上)

適用区分 ひと月の上限額(世帯ごと)
外来(個人ごと)
現役並み 年収約1,160万円~ 252,600円+(医療費-842,000円)×1%
年収約770~約1,160万円 167,400円+(医療費-558,000円)×1%
年収約370~約770万円 80,100円+(医療費-267,000円)×1%
一般 年収156~約370万円 18,000円
(年14万4,000円)
57,600円
住民税非課税等 Ⅱ 住民税非課税世帯 8,000円 24,600円
Ⅰ 住民税非課税世帯
(年金収入80万円以下など)
15,000円

引用元:高額療養費制度を利用される皆さまへ|厚生労働省保険局

69歳以下で適用区分が「エ」の場合、どんなに高額な医療を受けても患者が負担する金額は1月あたり57,600円となります。

なお、入院したときの食費や差額ベッド代については健康保険が使えませんので計算の対象になりません。

民間医療保険のもつ性質

民間医療保険は、医療を受けたときに生じる自己負担をまかなうために加入する保険です。公的医療保険と違って役立つときは限られますので、その違いをよく理解してください。

民間医療保険は入院でしか使えない

民間医療保険を考えるうえでまず大事なのは、民間医療保険が「入院保険」である点です。民間医療保険では入院しないと給付金が支払わないので、通院や在宅で医療を受けているときの治療費はまかなえません。

また、入院していても対象外となるものがあります。民間医療保険における入院は以下のように定義されます。

「入院」とは、医師による治療が必要であり、かつ自宅などでの治療が困難なため、病院または診療所に入り、つねに医師の管理下において治療に専念することをいいます。

引用元:新終身医療保険 ご契約のしおり・約款|メットライフ生命

ポイントとなるのは「病院または診療所に入り」と「つねに医師の管理下において治療に専念」という点です。そのため検査目的の入院、美容整形のための入院などは対象外になりますし、脳血管疾患の治療後におけるリハビリ目的の入院や、治療の必要性の薄い高齢者の入院なども給付金の支払対象外とされる可能性があります。

以上から民間医療保険が医療費の備えとして役立つのは限定的であり、民間医療保険に加入していても貯蓄による備えは必須といえます。

民間医療保険の商品構成

民間医療保険は主契約と特約から構成されています。主契約は契約するときに外せない保障で、特約は契約するかどうかを加入者が決められる保障です。特約は加入後に単体で外すことができますが、主契約を解約すると特約もすべて解約になります。

主契約

一般的な民間医療保険の主契約は以下のような構成になっています。

  • 入院給付金
  • 手術給付金
  • 放射線治療給付金 
  • 入院給付金

入院したときに入院日数に応じて給付金を受け取れる保障です。1日あたりの給付金は5,000円~1万円程度にするのが一般的です。

  • 手術給付金

入院または外来で手術を受けた場合に給付金を受け取れる保障です。

対象となる手術は公的医療保険が適用される手術のほか、先進医療にあたる手術も含めている商品もあります。

  • 放射線治療給付金

入院または外来で放射線治療を受けた場合に給付金を受け取れる保障です。

以前は放射線治療を受けたときの給付金も手術給付金に含まれていましたが、最近は「放射線治療給付金」として別にしていることが多いです。

手術給付金に含まれていると給付金を受け取れることに気付かず請求漏れになる可能性が高いので、このほうが良いでしょう。

特約

特約は保険会社によって違います。多くの保険会社に共通しているものの例を挙げると以下のようなものがあります。

  • 先進医療特約
  • 女性疾病特約
  • がん通院特約
  • 3大疾病特約
  • 介護一時金特約
  • 先進医療特約

先進医療を受けたとき、その先進医療固有の費用(技術料といいます)を受け取れる保障です。

  • 女性疾病特約

女性特有の病気(乳がんや子宮筋腫など)で入院したときに給付を手厚くする特約です。入院給付金を上乗せすることが多いです。

  • がん通院特約

がんの治療で通院したとき、通院日数に応じて給付金を支払う保障です。

  • 3大疾病特約

3大疾病(がん、急性心筋梗塞、脳卒中)で所定の状態になったときに一時金を受け取れる保障です。

がんは通常、悪性新生物のみが対象です。保障を範囲を広げ、肝疾患や腎疾患、糖尿病なども含める5疾病(7疾病)特約としている商品も多くあります。

  • 介護一時金特約

約款所定の介護状態(公的介護保険に連動しているケースが多い)に該当したときに一時金を受け取れる保障です。

特約は1つ1つを選んで付加するかどうかを決めることができます。

ただし安易に付加すると保険料が高くなりますし、主契約が不要になって解約したいとき、どうしても残したい特約があると解約がしにくくなります。そのためなるべく特約として加入せず単体の保険で加入するのがおすすめです。

まとめ

民間医療保険は役立つ範囲が限定的です。そのため民間医療保険に加入したからといって安心せず、医療費を意識した貯蓄をしておくことが必要です。

医療保険は終身で加入する人が多いですが、65歳程度までにとどめるというのも1つの方法です。また、がんは通院で治療することが増えているため、入院が条件となる医療保険ではがんの治療費をまかなうには向いていません。がんの治療費を保険で用意するならがん保険に加入することを検討しましょう。

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