医療保険は保険会社にとって売れ筋商品のため、どれを選んだら良いか迷うほど商品が多くあります。
そのため、保険商品のランキングを掲載した雑誌やインターネットのランキングを参考にする人もいるでしょう。しかし、こうしたランキングをもとにして医療保険を選ぶ場合は注意すべき点があります。
そこで、この記事では雑誌やネットのランキングを参考にするうえで注意すべき点や医療保険の商品の選び方について解説します。
Contents
雑誌の医療保険ランキング上位はだいたい同じ
保険の商品ランキングを扱う雑誌は半年おきに発売されるものが3誌ありますが、おおむね掲載されている商品は同じです。
まずはそのランキングを参考にしてみましょう。
雑誌のランキングは参考にする価値あり
インターネットの医療保険ランキングは単なる資料請求数ランキングだったり、誰が書いているかわからない根拠の乏しいランキングだったりするので全く参考になりません。しかし雑誌に掲載されているものはある程度、情報として価値があります。
なぜなら雑誌の記事はいずれも現役の保険屋さんやファイナンシャルプランナー(FP)に意見を聞いて執筆されているからです。
そこで、この記事執筆時点(2018年9月末)から直近で発売された3冊のランキングをまず見てみましょう。取り上げたのは以下の3冊です。
「別冊宝島 生命保険 実名ランキング」(株式会社宝島社)2018年9月25日発行
FPの横川由利氏と長尾義弘氏が監修しています。2人ともFPとして一定の知名度がある人です。なお「実名」とは単に商品名のことを指しているようですが、他誌もすべて実名を出しています。
「プロ100人が厳選! 最新保険ランキング2018年下期」(株式会社KADOKAWA) 2018年9月5日発行
現役の保険屋さん100人に意見を聞いて執筆されています。
「日経トレンディ別冊 保険最新ランキング」(日経BP社)2018年8月12日発行
多くのFPや医師の意見を聞き、それを参考にして書かれています。他誌とやや切り口が違い、さすが日経という印象があります。
以上の雑誌に掲載されているランキングを引用すると以下のとおりです。雑誌によって順位がついている商品数が違いますのでご了承ください。
実名ランキング | プロ100人 | 日経トレンディ | |
第1位 | 新キュア(オリックス生命) | ネオdeいりょう(ネオファースト生命) | 新キュア(オリックス生命) |
第2位 | 新・健康のお守り(ひまわり生命) | フレキシィS(メットライフ生命) | &LIFE新医療保険Aプレミア(あいおい生命) |
第3位 | フレキシィS(メットライフ生命) | 新キュア(オリックス生命) | プレミアムDX(チューリッヒ生命) |
第4位 | プレミアムDX(チューリッヒ生命) | メディカルKitR(あんしん生命) | 新・健康のお守り(ひまわり生命) |
第5位 | &LIFE新医療保険Aプレミア(あいおい生命) | &LIFE新医療保険Aプレミア(あいおい生命) | フレキシィS(メットライフ生命) |
第6位 | メディカルKitR(あんしん生命) | スマイルメディカルネクストα(朝日生命) | - |
第7位 | メディフィットA(メディケア生命) | ちゃんと応える医療保険EVER(アフラック生命) | - |
第8位 | 都道府県民共済 入院保障型 | プレミアムDX(チューリッヒ生命) | - |
第9位 | - | 新・健康のお守り(ひまわり生命) | - |
第10位 | - | 医療ベスト・ゴールド(FWD富士生命) | - |
総合ランキング
これをもとにして第1位に5ポイント、第2位に4ポイント・・・第5位に1ポイントとして点数をつけると順位は以下のようになります。オリックス生命の新キュアが他を引き離しています。
1位 | 新キュア (オリックス生命) |
13ポイント | |
2位 | フレキシィS (メットライフ生命) |
8ポイント | |
3位 | &LIFE新医療保険Aプレミア (三井住友海上あいおい生命) |
6ポイント | |
3位 | 新・健康のお守り (損保ジャパン日本興亜ひまわり生命) |
6ポイント | |
5位 | プレミアムDX (チューリッヒ生命) |
5ポイント | |
5位 | ネオdeいりょう (ネオファースト生命) |
5ポイント |
ランキング上位の医療保険のポイント
ランキング上位の医療保険について雑誌のコメントで評価されていたポイントとともに、特徴を簡単にまとめておきます。
新キュア(オリックス生命)
- 9年連続販売数1位
- 入院給付金の支払限度日数が3疾病(がん、心疾患、脳血管疾患)で無制限、7大生活習慣病は120日まで延長される
- 3大疾病のうち急性心筋梗塞と脳卒中は入院だけが条件で給付金が支払われ、かつ1年に1回支払い
3疾病の支払限度日数がデフォルトで無制限になっているのは良いです。また、急性心筋梗塞や脳卒中で一時金を支払う条件が「入院を開始したとき」となっている点や1年に1回が限度なのも評価されている理由として納得です。
急性心筋梗塞や脳卒中の保障は労働の制限や神経学的後遺症が60日以上残るという条件があるのが一般的でしたが、入院だけなら多くのケースで条件を満たすと考えられるからです。
公式サイト:医療保険 新CURE|オリックス生命
フレキシィS(メットライフ生命)
- 入院給付金の1入院あたり支払限度日数に730日型がある
- 入院給付金日額が最大で3万円まで設定可能
- 短期入院の定額保障がある
1入院あたりの支払限度日数は730日型という長いものが選べます。730日も保障してもらう必要性は薄いですが、長い期間を選択できるのは良いでしょう。
また、10日以内の短期入院では一律10万円(入院日額1万円の場合)を受け取れる特則を付加することができます。
特則なので契約時しか付加できませんし、保険期間の途中で解約できませんので注意してください。
公式サイト:終身医療保険フレキシィS|メットライフ生命
&LIFE 新医療保険Aプレミア(あいおい生命)
- 3大疾病の範囲が広い
- 3大疾病一時金は入院だけで受け取れる
- 不妊治療が保障される
3大疾病の定義はガン、心疾患、脳血管疾患です。ガンは上皮内新生物を含み、心疾患と脳血管疾患については急性心筋梗塞と脳卒中のみとしている商品よりも保障範囲が広いです。
3大疾病一時給付特約をつけるとこれらで入院したときに一時金が受け取れますが、ガンも入院が条件になっている点に注意してください。また不妊治療が保障されるのは珍しいですが、金額が少ないのであまり意味はないでしょう。
公式サイト:&LIFE新 新医療保険Aプレミア|三井住友海上あいおい生命
新・健康のお守り(ひまわり生命)
- 入院一時金特約がある
- 3大疾病支払日数無制限特則と医療用3大疾病入院一時金特約は入院を条件としている
- 介護一時金特約は要介護1で給付金を受け取れる
医療用入院一時金特約を付加すれば、入院給付金とは別に1回の入院について一時金(10万円程度)を受け取ることができます。
3大疾病支払日数無制限特則と医療用三大疾病入院一時金特約はいずれも入院が条件なので、急性心筋梗塞や脳卒中の条件は一般的な商品よりも条件が緩いですが、がんについては通院治療だけだと給付金を受け取れない点に注意してください。
公式サイト:新・健康のお守り|損保ジャパン日本興亜ひまわり生命
プレミアムDX(チューリッヒ生命)
- 入院給付金の支払限度日数に365日型がある
- 7大疾病延長入院特約・ストレス性疾病延長入院特約をつけると7大疾病で無制限、ストレス性疾病は365日まで延長できる
- 5疾病について就業不能保障がつけられる
7大疾病延長入院特約を付加すると、7大疾病(ガン、心疾患、脳血管疾患、糖尿病、高血圧性疾患、肝疾患、腎疾患)での入院は入院給付金の支払日数が無制限になります。3大疾病以外も無制限なのは珍しいです。
特徴的なのはストレス性疾病延長入院特約を付加すると、1入院の支払限度日数を30日型または60日型にしている場合は365日に延長されます。精神障害では入院期間が長期に及ぶことがあるので良い特約です。また、医療保険に就業不能保障をつけられるのも珍しいです。
公式サイト:終身医療保険プレミアムDX|チューリッヒ生命
ネオdeいりょう(ネオファースト生命)
- 主契約が入院保障のみで、手術保障も外せる
- 健康体料率がある
- 入院または外来治療で手術・放射線治療を受けたときの定額保障がある
主契約が入院保障のみというのは非常に珍しいです。手術保障も必須の保障ではないので外し、その代わりに治療保障特約を付加しても良いでしょう。
治療保障特約は公的医療保険制度の対象となる入院をしたときか、外来で公的医療保険制度の対象となる手術・放射線治療などを受けたときに10万円~30万円の定額給付金を受け取れるものです。
これはユニークな給付金の支払い方で理にかなっています。また死亡保険によくみられる健康体料率(健康状態によって保険料に差をつける仕組み)があるのも特徴です。
公式サイト:無解約返戻金型終身医療保険|ネオファースト生命
ランキングよりも大事なのは保障選び
以上で紹介した雑誌のランキングはある程度の信頼性がありますが、信用しすぎてはいけません。
雑誌には目安の保険料が掲載されていることも多いですが、保険料は条件がほぼ同じでなければ比較しても意味がありませんし、加入する年齢によっても結果が全く違います。また、ランキングをつけている人たちも他の人が言っていることを参考にしている可能性が高いので、ランキングにとらわれず商品を良く見て判断することが大事です。
保険選びで大事なのは商品選びではなく必要な保障をきちんと選ぶことです。せっかく保険料の安い商品があっても不要な保障がついていたら意味がないです。
そのためまずは「必要な保障は何か」ということを整理し、それを満たすことが可能な商品を保険ショップでピックアップしてもらって検討するのが良いです。条件を満たしている商品の中に、ランキング上位の商品があったら決める理由の1つとする分には問題ありません。
たとえば以下のように保障を先に決めるのです(一例です)。
- 入院給付金日額 5000円~1万円
- 1入院の支払限度日数は最低120日、できれば180日~365日
- (手術給付金 一律10万円程度)※外せるなら外す
- (放射線治療給付金 10万円程度)※外せるなら外す
- 3大疾病特約(がんは診断確定が条件、心疾患と脳血管疾患の支給条件が緩いもの)100万円~200万円 ※がん保険は入らない
- 先進医療特約
このように、これだけはほしいという最低の保障を決めたうえで保険ショップに行って条件に合う商品を出してもらい、それから商品選びをすれば良いのです。
まとめ
保険を選ぶときに商品から選ぶのはおすすめしません。なぜなら雑誌やネットのランキングにとらわれてしまうと商品ありきの保障選びになってしまうからです。
しかし必要な保障を決めてから商品を選べば、無名の商品でも条件合うものが見つかる可能性があります。
複数の保険会社の商品を扱う保険代理店(乗合代理店)に行けば、たいていあなたの希望に合う商品がいくつか見つかるはずです。
その中から保険料の安いものを基本とし、その他の条件を加味して決めれば良いのです。雑誌やネットのランキングはあくまで参考程度にとどめましょう。
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