自動車保険の人気のある特約に「個人賠償責任特約」というものがあります。
特約とは簡単に言えば任意で付けられるオプションのようなものです。
本ページでは「個人賠償責任特約の特徴やメリット、デメリット、必要性にについて」解説します。
Contents
個人賠償責任特約の基本的な補償内容
個人賠償責任特約とは自分やその家族(配偶者や同居の親族、別居の未婚の子どもなど)が日常生活において他人にケガをさせてしまったり、モノを壊してしまった場合に使える保険です。
相手にケガや物損の被害を与えてしまった場合に生じる賠償金を補償してもらうことが可能です。
自分及び家族の賠償責任が補償対象
この保険の大きな特徴となるのが、「家族も補償対象になる」という点です。補償対象となる家族は以下の通りです。
- 配偶者(保険によっては内縁の妻・事実婚でもOK)
- 同居している両親
- 同居している子ども
- そのほか同居している親族
- 別居している未婚の子ども(既婚の子どもは対象外)
子どもがいる家庭の場合は子どもが誤ってケガをさせてしまうこと・モノを壊してしまう可能性もあります。その場合には親が損害賠償をしなければなりません。家族が起こした事故も対象となるので。特に家族がいる方にとっては便利な補償となっています。
自分及び家族自身の被害は対象外
この保険はあくまで相手を補償するための保険で、自分自身(及び家族自身)が受けた損害に関しては補償されません。
例えば自転車で子どもが人とぶつかってケガをし、相手にもケガをさせてしまった場合。相手に対するケガの賠償金は補償されますが、子どもが負ったケガに対しては保険金を受け取ることはできません。
自分及び家族自身の被害に対する補償は「人身傷害保険」でカバーすることが可能です。こちらの補償は自動車保険加入者の約9割が加入している補償なので一緒にチェックしておきましょう。
その他対象外となるケース
自分及び家族が起こした事故なら、自動車に乗っている時以外の事故でも補償を受けられます。ですが、いくつか対象外となるケースがあるので確認しておきましょう。
- 事故が故意であった場合
- 借りたもの・預かりものを壊してしまった場合
- 自身や津波など、災害によって起こった損害賠償責任
- 相手が契約者や親族など家族間で起こった事故の場合
- 仕事中に起こってしまった事故の場合(事故の内容による)
- 車の使用や所有が原因で起きた事故
- 空機、船舶・特殊車両、銃器などの使用や所有が原因で起きた事故
車での事故は基本の補償となる「対人・対物」で補償されますし、仕事中の事故には基本的に別の保険が用意されています。
また空機や船舶などの乗り物起きた事故は補償されませんが、ゴルフカートや車いすなど動力が人力である場合は補償されるケースが多いです。
子どもが起こした事故の場合は年齢によって故意なのか故意ではないのか判断が分かれる場合もあります。
例えばいたずらをしてモノを壊してしまった場合は幼稚園児は判断能力が低いので故意とはみなされず補償対象に、小学校高学年なら判断能力があるはずなので保証対象外に。
弁護士や当事者との話し合いにより補償対象となるかどうかが変わってきます。
示談交渉サービスが付いている場合も
保険によっては無料で示談交渉サービスが付いている場合もあります。
事故によって相手に損害を与えてしまった場合は示談交渉がつきものです。このサービスを利用することでよりスムーズに事故後の手続きを行えます。
損保ジャパンの場合、対象内となる事故であれば国内外問わず補償されます。しかし示談交渉サービスは国内のみの対応となっています。
補償額や保険料はどのくらい?
保険会社によって補償額は違います。自分で設定して選べる場合もあれば、最初から決められた範囲内となっている場合もあります。
以前は最低3000万~最大2億程度の補償金額が主流でした。しかし近年はより高額となる賠償金額に対応できるように「無制限」となっている保険が増えています。
保険会社 | 補償金額 | 年間保険料 |
---|---|---|
損保ジャパン | 無制限 (国外の事故は1億) |
約2,100円 |
おとなの自動車保険 | 無制限 | 約1,500円 |
チューリッヒ | 3000万~1億 | 約2,000円~2,500円 |
三井住友海上 | 無制限 | 約1,700円 |
補償内容や契約者の年齢・条件等にもよりますが、基本的には年額1500円~3000円の間で加入できます。月に換算すると120円~250円前後が相場となります。
こんな時に対応できる
「自分及び家族が起こした事故で発生した損害賠償を補償してくれる」ということは理解できても、具体的にはどのようなケースで補償が受けられるのか解らないという方も多いでしょう。
実際に補償される事故のケースについて、いくつかの例をご紹介します。
自転車事故や歩行中の事故、日常生活における不慮の事故・子どもが起こした事故、ペットが原因で起きた事故など、様々なケースで補償が受けられます。
しかし補償が受けられるかどうかの判断は保険会社によっても違います。ケースバイケースなので損害賠償を求められた場合はまず保険会社に電話して相談しましょう。
個人賠償責任特約を利用して補償をうけても自動車保険の等級が変わることはありません。そのため比較的に手軽に使える補償となっています。
- 自転車で走行中に人にぶつかってケガをさせてしまった
- 洗濯機の故障で水もれが起き、マンションの下の階で雨漏りして家財等に損害を与えてしまった
- ゴルフ中に打ったボールが当たり、ケガをさせてしまった
- ベランダからモノが落下して歩行中の人にケガをさせてしまった
- 子どもが遊んでいる最中に誤って人の家の窓ガラスを割ってしまった
- 子どもが走ってお店の商品にぶつかり、壊してしまった
- 子どもが遊んでいて駐車している車にぶつかって傷をつけてしまった
- 散歩中に飼っている犬が人にかみついてケガをさせてしまった
- 飼っているネコが人をひっかいてケガをさせてしまった
まとめ:メリットは多いのでオススメ!ただし補償の重複に要注意
自動車保険の特約は不要なものが多いですが、個人賠償責任特約は比較的メリットが多い特約です。
特に配偶者や子どもがいる方にとってはメリットが大きいので入っておいてもいいでしょう。
注意しておきたいのは、補償が重複する可能性があるという点です。
個人賠償責任特約は自動車保険だけでなく火災保険等の特約にもついている場合があります。気を付けておかなければ、補償が重複する可能性もあります。
補償が重複すると無駄に保険料を支払うことになりかねません。加入を検討する際は似たような補償に入っていないかどうかチェックするように心がけましょう。
また夫婦で1台ずつ自動車を所有している場合も補償が重複しないように気を付けておきましょう。