資産運用

外国債券はリスクが高い?投資する前に知っておきたい5つのリスク

現在国内債券は最もリスクが低いとされていますが、その反面長引く低金利のため最もリターンの低い投資でもあります。

そのためここ数年で国内ではなく、海外の債券へ投資しようとする人も増えてきました。

外国債券は比較的安全と言われるアメリカや欧州諸国でも0.5%~2%程度インドや南アフリカ等の新興国であれば5%以上利回りが期待できます。

日本の債券は現在10年物でもほとんど0に近いですから外国債券の利回りは非常に魅力的です。しかしその分リスクは高まります。

本ページでは「外国債券投資を始める前に最低限知っておくべきリスクについて」解説します。

価格変動のリスク

購入した外国債券そのものの価格が変動するリスクがあります。

通常であれば満期まで保有すれば額面の金額を受け取れますが、満期前に売却すると損失が出ることがあります。これは債券の価格が市場の変動金利と連動して日々刻々と変動しているためです。

金利と債券価格の連動性の仕組み

債券市場の金利が上がると新しく発行される債券の年間利率も高くなるため債券の価格も高くなりますが、既に発行されている債券は金利が低いため価格が下落します。

反対に債券市場の金利が下がると新しく発行される債券の年間利率も低くなるため債券の価格も低下しますが、既に発行されている債券は金利が高いため価格が上がります

<債権市場の金利が上がる>

  • 新しく発行される債権:価格が高くなる
  • すでに発行されている債権:価格が下落

<債権市場の金利が下がる>

  • 新しく発行される債権:価格が低くなる
  • すでに発行されている債権:価格が上昇

具体例で説明しますね。

例えば満期10年の米国債を購入するとします。

<1年前は金利が1%だったのが現在1.5%になった場合>
現在の米国債の方が有利なため金利1%の米国債の価格は下落します。

<1年前の金利が1,75%だったのが現在1.5%になった場合>
1年前の米国債の方が有利なため金利1.75%の米国債の価格は上昇します。

満期までの期間と債券の価格が変動する幅には関係がある

短期の債券よりも長期の債券の方が価格の変動するリスクは高くなります

債券は満期までの期間が数ヵ月という短期債から30年という長期債までありますが、一定の金利の変動により債券の価格が変動する幅には違いがあります。

通常は満期までの期間が長ければ長いほど価格が変動する幅は大きくなります

例えば満期が2年、5年、10年の米国債を比較すると2016年10月末の時点の1ヵ月の利回り変化幅は以下のようになります。

  • 2年債が「+13」
  • 5年債が「+21」
  • 10年債が「+29」

やはり満期までの期間が長ければ長いほど利回りの変化幅が大きくなり、価格の変動する幅が大きくなります。

為替変動のリスク

現在銀行や証券会社で販売されている主流の外国債券は外貨建債券と呼ばれるものです。外貨建債券は外貨で購入し、売却及び償還は外貨で受け取ることになるため為替リスクが生じます

日本を含む先進国は変動相場制を採用しているため為替の交換レートは毎日のように変化しています。外貨建債券の償還により受け取る外貨が円に対して強くなると受け取る円の金額は増えますが、弱くなると受け取る円の金額は減少します。

具体例で説明するとわかりやくなります。

<2万ドルの米国債を購入し、満期に円で受け取る場合について>

  • 購入した時の為替レートが1米ドル=90円だった場合
    2万ドル×90円=180万円が購入金額になります。
  • 満期の時の為替レートが1米ドル=100円だった場合
    2万ドル×100円=200万円が満期時に受け取る金額となり、200万円―180万円=20万円の為替差益が発生します。
  • 満期の時の為替レートが1米ドル=80円だった場合
    2万ドル×80円=160万円が満期時に受け取る金額となり180万円―160万円=20万円の為替差損が発生します。

このような為替リスクは外貨を円に両替するときに発生するので、円高になって為替差損が発生するリスクがある場合には償還されるお金を円に換えず外貨で保有するということもできます。

その後、為替差損が発生しないレートになった時点で日本円に換えることでリスクを回避できます。

信用リスク

外国債券には、元本の回収不能や利払いの遅れなどデフォルト(債務不履行)のリスクをともなう「信用リスク」があります。

信用リスクを判断するための物差しとして格付があります。

格付機関と呼ばれる民間の会社が個々の債券の発行体や債券自体の信用力をいくつかの項目で評価したものが格付で、確実に元本が返ってくる確実性のことです。

  • 格付が高い:信用リスクは低くデフォルトになる可能性も低い
  • 格付が低い:信用リスクが高くデフォルトを引き起こす可能性も高い

格付は信用力のレベルをアルファベットのA、B、Cと「+」「-」の記号などを使って表記します。

例えば、AA(ダブルエー)、BBB(トリプルビー)などと表記します。格付の最上位はAAA(トリプルエー)で、最下位はDでデフォルトの頭文字で表記します。

気になるのが債券などに投資する際の基準としてどう活用するかという点だと思いますが、一般的には以下のようになります。

  • BBB(トリプルビー)以上:デフォルトのリスクが低い
  • BB(ダブルビー)以下:リスクが高い

格付は債券の金利と連動していて、格付が高いほど債券の金利は低くなり、格付が低いほど金利が高くなります

なお格付評価は各格付機関が独自の調査と基準により行うもので、同じ債券であっても各格付機関の格付が異なることがあります。

また格付は発行体の財務状況などによって変化するものであり、各格付機関は定期的に見直しを行います。債券を購入するときだけでなく、債券を購入した後も常に格付には注意する必要があります。

国際情勢リスク(カントリーリスク)

外国債券には、政治・経済の状況の変化により証券市場や為替市場に混乱が生じるカントリーリスクがあります。

例えば誰もが安全だと思っていた国でもテロ等によって混乱を招く可能性があると、その国の発行する国債の償還ができなくなることがあります。

また国の経済状態が急激に悪化して国債の利払いができなくなるということもあります。

デフォルトの状態になると債券の価格はあっという間に下落して、その債券の取引は停止になります。

コスト高のリスク

外国債券は業者間取引が行われるため取引のコストが高くなりやすく、コスト高のリスクがあります。

債券を発行しているところから直接購入するのであれば、購入コストを安く抑えることはできますが、日本で外国債券を購入するには日本の業者を通じて外国債券を取り扱う業者から購入しなくてはなりません。業者に払う手数料が多めにかかってしまうのです。

また為替手数料がかかってくることもコスト高の原因です。

  • 債券を購入
  • 利払い
  • 満期による償還
  • 売却など

上記の際に日本円に換金すると、為替手数料がかかりコスト高になるリスクがあります。

海外の金融商品への投資は債券投資に限らず極力現地の金融機関を利用しない限り全体的にコスト高になりがちです。

まとめ

外国債券の以下5つのリスクについて説明させていただきましたが、ご理解いただけたかと思います。

  • 価格変動のリスク
  • 為替変動のリスク
  • 信用リスク
  • 国際情勢リスク
  • コスト高のリスク

外国債券の高利回りは魅力的ですが、投資を始める前に最低限リスクを知った上で始めることをおすすめします。

投資においてリスクとリターンのバランスを常に意識することが大切です。しかし一般的に外国債券への投資はリスクが高く、更にコストのわりにリターンが小さいと感じるものが多いのが現状です。

現地の金融機関で直接取引でもしない限りお勧めできる投資とは言い難いです。

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