資産運用

老後に得られる年金はどれくらい?必要生活費は?

日本企業の多くは定年制度を採用しており、一般的に最長で65歳まで(60歳定年の企業でも希望すれば65歳まで再雇用で)働くことができます。

それ以降、平均的な寿命の85歳前後まで約20年間は多くの方は年金のみの生活となります。

しかし、収入が年金のみだと生活が出来ないという不安を持っている方が数多くいます。

だから老後を凌いでいくためには老後の「蓄え」と「生活費」を把握する必要はあります。

本ページでは「老後に得られる年金」と「必要生活費」についてご紹介しますね。

現状でもらえる年金受給額

老後収入の柱と言える年金に関しては、年1回の誕生月に日本年金機構から年金定期便が送付され、現役時代にその時点の納付実績に基づいて想定額がわかるようになっています。

もっと基本的なしくみや相場を知っておきましょう。

厚生年金(一般的な会社員が加入)

一般的な会社に勤める従業員は厚生年金の加入が義務付けされているため、正規・非正規に関わらずフルタイムで働く多くの従業員は厚生年金に加入しているはずです。

厚生年金では保険料の支払・年金受給のいずれに関しても、標準報酬月額や標準賞与額に基づいて計算されます。

標準報酬月額は月給額、標準賞与額はボーナスに応じて決まりますが、これらが高くなるほど保険料を多く支払い、年金を多く受け取ることになります。

ちなみに「平成28年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、厚生年金の受取額は平均で月14.5万円程度。2年前より平均金額が2000円下がっています。

国民年金(自営業者やフリーター等が加入)

会社の厚生年金に加入していない自営業者やフリーターが加入するのが国民年金です。

国民年金の額は物価や賃金状況により年度ごとの変動はありますが、保険料は一律になっています。納付月数が多ければ多くもらえるようになっています。

平成30年度の受給額は満額で年77.9300円、月6.5万円程度です。平均受給額は6万円弱というデータが出ております。

ちなみに満額とは20歳~60歳の40年間の支払いを表します。

定年後の20年間に必要な生活費

もらえる年金をどこに充てるかを把握するのも重要です。生活費のほうがオーバーすると貯蓄を取り崩していくしか無くなります。

主な生活費(食費・住居費等)

最低限支払っていかなければいけない身近な経費としては以下のようなもの例として挙げられます。

  • 食費
  • 衣服費
  • 雑貨代

その他、老後の余暇を楽しみたいのであればレジャー費・交際費もありますし、高齢ではどうしても病気がちになりますので医療費もかかります。

その他大きいのは住居費があり光熱費は賃貸で家主名義という場合を除いて、必ず支払うことになります。

賃貸であれば家賃を支払い続けるのはもちろんのこと、持家の場合であっても固定資産税が毎年かかりますし、不定期で修繕費・バリアフリー改装費の発生も考えられます。

住宅ローンを払い終えていなければ、その支払もしていくことになります。

この老後の生活費平均は、総務省の家計調査報告(家計収支編)平成29年(2017年)III 総世帯及び単身世帯の家計収支によると、高齢単身世帯では月14.2万円程度(食費約月3.5万円・住居費約月1.4万円など)。

家計調査報告(家計収支編)平成29年(2017年)II 世帯属性別の家計収支(二人以上の世帯)によると高齢夫婦世帯では月24万円程度(費目を見ると食費約月6.5万円・住居費約月1.4万円など)です。

世帯全員が厚生年金であれば貯蓄を崩さずに済みそうですが、そうでない場合はまず貯蓄を取り崩さないと難しいでしょう。

税や保険の支払(健康保険・介護保険・所得税等)

他にも年金に対して税金や公的な保険がかかってきます。無視されがちですが、年金はそのまま丸々もらえるわけではないのです。

所得税や住民税については公的年金をもらう際に引かれます(住民税については年金額を超過する場合を除きます)。

老後の健康保険(介護保険含む)に関しては以下のとおりです。

  • 前期高齢者(65〜74歳):国民健康保険か職場の健康保険
  • 75歳以上になると後期高齢者医療制度の保険と介護保険に加入

これらの保険についても年金額が18万円以上の場合は、年金をもらう際に引かれることになります(国民健康保険の場合は世帯の状況により引かれるかが変わります)。

天引きされることで未納の危険性は無くなりますが、それだけ手元に入る金額も少なくなりますので注意が必要です。

平均的な厚生年金額である月14.7万円の年金がもらえるケースを考え、ここから上記の税・保険は全て天引きされるケースを考えます。

公的年金は2カ月毎に振り込まれるので、1回あたり29.4万円もらえることになります。税・保険の天引き後は27万円程度にまで下がります。

月14.7万円もらって1カ月あたり1.3万円程度の税・保険が引かれるとなりますと、単身世帯の平均的な生活費14.3万円をさらに引いた場合、1万円弱の不足分が生じることになります。

生活費の不足分を補うためには

ここまで解説してきた通り、たとえローンが支払い終わって住居費が最小限に留められているとしても、多くの人が年金だけでは生活費を賄うことが厳しい状態となっています。

この生活費の不足分を補うにはどうしたらよいでしょうか?「貯金を切り崩す」と「投資の運用利回りで収入を得る」の方法を考えてみます。

貯金を切りくずす

若干の赤字であれば、貯金を切り崩すという手もあります。

毎年10万円の赤字であれば、65歳から85歳までの20年で200万円の貯金があればいいことになります。年間20万円でも400万円程度で済みます。

平均的な退職金が1500万円ほどですから十分賄うことが出来るでしょう。

ただし、切り崩したうえで貯金がマイナスになるようであればこれだけでは問題です。

投資の運用利回りで収入を得る

投資の運用でお金を増やしていければ、理想的です。

例えば退職金1,500万円を利回り1%で運用した場合は、330万円の収入が得られます。

しかしマイナス金利の時代では、元本割れのリスクをとらず運用していくのは難しいです。また老後になってから投資を始めると投資詐欺にあい生活の糧を失う可能性すらあります。退職金は狙打ちされます。

投資をやるなら若い頃からしていくことが重要です。

若い頃から年金を得るために投資をしていくものとして「確定拠出年金」などがあります。これであれば60歳から年金をもらえます。

参考記事:確定拠出年金(401k)とは?メリットとデメリットを解説

国内債券であれば元本割れはしませんが利回りがよくないため、国内外の株式海外債券などを組み合わせていく必要があります。

また個人型確定拠出年金でなくても、証券口座で国内株式に投資する方法もあります。NISAであれば配当や売却益は非課税ですので、なおよいと言えます。

元本割れの危険性はありますが、配当で継続的に収入を得ていければ、利回りのよい形で収入が得られるとは言えます。

まとめ

若いうちに貯蓄だけでなく投資による利回りを確保しなければ、老後は確実に貧しくなってきます。

近年定年後に所得が一気に下がって、中流層から貧困層になる老人が急増しています。年をとってからリスクをとるのは得策ではないので、若いうちから投資を意識しながら老後資金の形成をしていきましょう。

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