国内生保最大手の日本生命ですが、結論から言えば、養老保険についてはあまりおすすめできる商品ではありません。
そこで、この記事では日本生命の養老保険がなぜおすすめできないか、その理由とともに詳しく解説します。
Contents
日本生命の養老保険の構成
日本生命が扱う養老保険は、次の2つです。
- ニッセイ みらいのカタチ 養老保険
- ニッセイ 一時払養老保険
公式サイト:ニッセイ みらいのカタチ 養老保険
公式サイト:ニッセイ一時払養老保険
2018年6月現在、一時払い養老保険は販売休止となっています。そのため、日本生命で養老保険に加入するなら「ニッセイ みらいのカタチ 養老保険」のみとなります。
なお、この商品は13種類の保険から好きなものを組み合わせることができる「みらいのカタチ」というパッケージの1商品です。
医療保険や定期保険などと組み合わせることができるわけですが、組み合わせても保険料が安くなるわけではないので、一緒に加入する必要はありません。
むしろ、各商品は他の保険会社の商品と比較したうえでもっとも良い商品を選び、それぞれ単体で加入するのがおすすめです。
養老保険に付帯できる特約
この養老保険につけられる特約は「保険料払込免除特約」と「リビングニーズ特約」の2つです。
保険料払込免除特約は、被保険者(保険の対象となる人)が死亡した場合、以降の保険料が免除になる特約です。
死亡して死亡保険金を受け取ったあとに、残りの期間の保険料を払い続けるのもおかしな話なので、加入するのであればつけておいた方が良いでしょう。
リビングニーズ特約とは、余命半年以内と医師から宣告を受けたとき、3,000万円と保険金額のいずれか少ない金額を生前に受け取ることができる特約です。
生前に受け取ると、その資金を治療費にあてることも可能になり、場合によっては延命できるかもしれません。
定期保険や収入保障保険など、死亡保険ならつけられることがほとんどです。そのため、養老保険に加入しない場合でも、こうした特約があることは覚えておきましょう。
日本生命の養老保険に加入するメリット・デメリット
ニッセイの養老保険に加入するメリットとデメリットについて、ここでは具体的に解説します。
正直なところ、メリットについては一般的な保険のメリットしかなく、デメリットの多さが目立つ商品となっています。
ニッセイの養老保険に加入するメリット
加入するメリットは以下の2つがあります。
- 強制的に貯蓄できる
- 死亡保障が得られる
強制的に貯蓄できる
この保険に加入すると、保険料として毎月、一定のお金を支払うことが必要です。
そして満期になれば、契約時に定めた保険金額を受け取ることができます。そのため、自分の意思で貯蓄をするのが苦手な人でもお金を貯めることができます。
ただし、これはニッセイの養老保険でなくても貯蓄型の保険であれば同じです。
死亡保障が得られる
この保険に加入すると、保険期間内に被保険者が死亡した場合、満期保険金と同額の死亡保険金を受け取ることができます。
これは保険なので、たとえ加入してからわずか1カ月後であっても、保険金を支払わない条件(3年以内の自殺や重大な告知義務違反など)に該当しなければ、満額の保険金を受け取ることができます。これも他の死亡保険と同じ特徴なので、ニッセイの養老保険のメリットというわけではありません。
なお、ニッセイの養老保険には、一般的な死亡保険についている高度障害保障がついていませんのでご注意ください。
ニッセイの養老保険に加入するデメリット
メリットがあまりない一方で、デメリットはたくさんあります。
<デメリット>
- 中途解約のリスクを負う
- 予定利率が固定されているため、金利上昇時にその恩恵をうけられない
- 満期金を据え置いても、利息はほとんどつかない
- 満期まで加入しても元本割れする
中途解約のリスクを負う
養老保険は契約期間の途中で解約すると、払込保険料の総額よりも少ないお金しか戻らないことがほとんどです。
ただし終身保険と比べれば、戻ってくる割合は高めに設定されているのが普通です。
予定利率が固定されているため、金利上昇時にその恩恵を受けられない
市場金利が低いときは予定利率(保険料が契約者に対して約束する利回り)も低くなりますが、契約期間が長ければ、その間に市場金利が上昇する可能性があります。
しかし予定利率は契約時の金利で固定されていますので、金利上昇の恩恵を受けられないことになります。
満期金を据え置いても、利息はほとんどつかない
満期保険金は満期になっても受け取らず、10万円以上1円単位で据え置くことができます。この場合は所定の利息がつきますが、2018年6月現在の利息は年0.01%なので、ほとんど増えません。
これなら満期金として受け取り、金利の良い定期預金にでもした方が良いでしょう。
満期まで加入しても元本割れする
元本割れする根拠
養老保険は預金とは違って死亡保障がついていますので、その分の保険料も含まれます。そのため満期まで加入しても、払い込んだ保険料の総額より満期保険金の方が少ないということが起きます。
日本生命のホームページに掲載されている例で試算してみましょう。
30歳の男性が保険金額1,000万円の養老保険に60歳まで加入する場合の保険料は、月額30,110円です。そうすると、払い込む保険料の総額は次のとおりです。
30,110円×12カ月×(60歳-30歳)=10,839,600円
1,000万円以上の保険料を払って満期保険金が1,000万円なのですから、元本割れしていることがわかります。
生命保険料控除の節税効果を考慮するとどうなる?
厳密に言うと、元本割れするかどうかは節税効果を考慮する必要があります。保険料を支払うと、所得税と住民税の計算において「生命保険料控除」という優遇措置を受けることができるからです。
保険料を支払うと、そのうち所定の計算式で求めた金額を生命保険料控除として、所得から差し引くことができます。税額は所得に対して税率をかけて計算しますので、その分が節税になるということです。
所得税と住民税における生命保険料控除額の計算方法には違いがあります。計算式については以下のページに掲載していますので、そちらをご覧ください。
関連記事:かんぽ生命の養老保険は元本割れ?加入するメリットとデメリットを検証
先述した例の養老保険に加入した場合の年間保険料は、30,110円×12カ月=361,320円です。そのため、所得税の生命保険料控除額は40,000円、住民税は28,000円となります(平成24年1月1日以降の新制度で計算)。
所得税の税率は所得の金額によって変わりますが、ここでは仮に10%としておきます。また、住民税は均等割と所得割で構成されていますが、所得割の標準税率は一律で10%です。そのため、節税効果は次のとおりです。
40,000円×10%(所得税)+28,000円×10%(住民税)=6,800円
6,800円×30年=204,000円
10,839,600円-204,000円=10,635,600円>10,000,000円となり、節税効果を最大限に得たとしても元本割れとなります。
ちなみに、所得税の最高税率(45%)が適用されている人の場合は次のようになります(住民税は変わりません)。
40,000円×45%+28,000円×10%=20,800円
20,800円×30年=624,000円
10,839,600円-624,000円=10,215,600円>10,000,000円ですので、やはり元本割れとなります。
なお、以上の計算は、他の保険に加入しておらず、生命保険料控除の枠がすべて残っているときの計算です。同じ枠に入る保険(定期保険や学資保険など)ですでに枠を使っている場合はこの計算どおりになりませんのでご注意ください。
まとめ
日本生命の養老保険は加入するメリットが見い出せませんでしたので、加入するなら終身保険など、他の商品にした方が良いでしょう。
ただし、これは日本生命の商品に限った話ではなく、市場金利が低いときは、一般的に他の保険会社の商品でも同様の傾向があります。
利回りを良くしたいなら、たとえばソニー生命で扱っている外貨建て養老保険や変額保険を利用するなどして、リスクをとることが必要です。
もし、元本が減ることを望まないのであれば、定期預金にして寝かせておく方が良いでしょう。
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