自動車保険には等級制度という独自の割引制度が採用されています。
代理店で購入する場合も、ネットで外資系保険会社を契約する場合も国内で自動車保険を利用するなら必ず適用されている共通のルールです。
この等級制度、数回にわたって改定されているということもあり、非常に分かりにくい制度となっています。しかし自動車保険の保険料の仕組みを理解する上で等級制度は外せません。
本ページでは「自動車保険をお得に掛けるために等級制度について」重要なポイントを絞って解説します。
Contents
等級は1~20まで!最初は6等級から始まる
先述した通り等級制度はどの保険会社も同じ内容の制度を導入しています。事故をした履歴に応じて等級が変わり、それに合わせて保険料が割り引かれます。
等級は1等級から20等級までに区分されており、等級が上がれば上がるほど保険料が安くなります(最大が20等級)。
初めて契約するときは6等級から開始され、1年間無事故で1等級アップ、事故をすると1等級、または3等級ダウンするシステムとなっています。
等級に対する割引率とは?
割引額は制度の変更もあってやや複雑です。保険会社によって割引率は微妙に変わりますが、ほぼ同じような割引率と考えていいでしょう。
現在のノンフリート等級(契約者が所有する車が10台以下の人が適用される等級)の割引率は下記の通りとなります。
参照元:ノンフリート等級別割引・割増制度|あいおいニッセイ同和損保
ノンフリート等級:契約者が所有している車の台数が合計9台以下の場合はノンフリート契約者となります。ほとんどの一般契約者はノンフリート契約者に当てはまります。
法人などで10台以上の車を所有している場合でない限りは、ノンフリート等級の割引率を参照すれば問題ありません。ちなみに10台以上所有している場合はフリート等級という別の割引率が適用されます。
具体的な割引率はどのくらい?
割引率は平成25年に改定があり、現在同じ等級でも無事故と事故有で割引率、つまり保険料が変わるシステムとなっています。
上記の割引率を参照すると、10等級の場合は改定前は事故の有無に関わらず37%の割引率でした。しかし改定後は同じ等級でも事故があるか無いかによって割引率が以下のように変わります。
- 前年度事故をして等級が13等級から10等級に下がった場合は割引率23%
- 前年度無事故で等級が9等級から10等級に上がった場合は割引率43%
同じ等級でも無事故と事故有で20%も割引率が変わるので元々の保険料によっては年間2〜3万円以上金額が変わる場合もあります。保険料を安くするには事故をしないことが一番ということですね。
事故をしなかった場合は翌年度の保険料がいくらになるのか証券や契約内容が書かれている書類に記載されていることが多いです。等級や割引率なども契約内容の欄に記載されているのでチェックしておきましょう。
等級の考え方のポイント
割引率の他に知っておきたい等級制度の考え方のポイントをまとめました。どこの保険会社でも同じ制度になっているので、下記を理解していればOKです。
等級が下がる事故の種別
事故とみなされるかどうかは人身事故や物損事故問わず「保険を利用したかどうか」になります。もし事故をしても保険を使わなければ等級に影響は出ません。
交通事故をすると下がる等級は「3等級ダウン」「1等級ダウン」「ノーカウント事故」に分けられます。
- 3等級ダウン…相手を死傷させたり車を破損させて対人対物賠償、車両保険を使った場合。
- 1等級ダウン…盗難や落書き、飛び石などによる車の破損で車両保険を使った場合
- ノーカウント事故…自分や家族のケガで人身傷害保険や搭乗障害保険を使った場合
ご覧の通りですが、ほとんどの保険を使う事故の場合は3等級下がる「3等級ダウン」に当てはまります。自分に過失がある場合は3等級ダウンに当てはまると考えておくといいでしょう。
いたずらや災害などにより自分の車だけが被害に遭った場合、自分に過失がない場合は「1等級ダウン」に区分されます。
台風などで何かが飛んできて車が破損した場合や、落書きなどをされて車が傷ついた場合などが当てはまります。1等級しかダウンしませんが保険料は大幅に上がる可能性があるので保険を利用するかどうかよく考える必要があります。
落書きなどによる擦り傷程度なら保険を使わずに自費で修理したほうがいい場合もあります。保険会社に問い合わせてどちらの方が良いか相談してみるといいでしょう。
ノーカウント事故は以下のような項目で「危険な運転をしたために起こした事故で使う補償」ではないものを利用した場合に当てはまります。
- 搭乗者傷害保険
- 人身傷害保険
- 弁護士特約
- ファミリーバイク特約
例えば「搭乗者傷害保険」を例に挙げると、例えば助手席に友人を乗せていた時に事故を起こしてけがを負わせてしまったとします。その際に相手が当て逃げだったり、無保険車で補償されない等、事故相手から補償がない場合は友人の損害は運転者であるあなたに賠償責任が生じます。
その際に役に立つのが「搭乗者傷害保険」ですが、このような事象で保険を使っても等級は下がりません。
ノーカウントなので等級が下がることはなく、翌年の等級は1等級アップします。
事故をすると「事故有」となり割引率が下がる
現在はすべての自動車保険で「事故有係数適用期間」という制度が導入されました。
以前は同じ等級であれば前年度に事故をしていてもしていなくても割引率は同じでした。
しかしこれだと事故をしていない契約者の負担が増えるため、同じ等級でも「事故有」であるかどうかによって割引率が変わる制度が適応されています。「事故有」とみなされる期間は以下の条件で決まります。
- 3等級ダウン事故なら翌年度の契約から3年間「事故有」
- 1等級ダウン事故なら翌年度の契約から1年間「事故有」
もし2年連続で事故をして保険を使った場合は事故有係数適用期間が6年を上限に加算されます。
「事故有」の期間中に保険を使わなければ「事故無」扱いに戻り、保険料の割引率が上がります。
何度も事故をすると「事故有」期間が長くなり保険料が高くなる時期が長引きますし、等級が下がって保険料が割増しになる可能性もあります。最悪の場合継続更新を拒否されることもあります。
保険料を安くしたい場合はできるだけ事故をせず「事故有」となる期間が少なくなるようにしなければなりません。
等級の適用は記名被保険者に
自動車保険は車そのものに掛ける保険という感覚ですが、等級は主となる運転者である記名被保険者に対して適用されるイメージです。そのため自動車保険や車そのものを乗り換える場合も条件を満たせば等級は引き継がれます。
保険の乗り換えをしても初めて契約するときのように6等級から始まるというわけではありません。今まで無事故だった場合はきちんと乗り換え前の等級を引き継ぐことが可能です。
また、車の乗り換え時も等級の引継ぎには乗り換える前の保険の証書などが必要になるので確認しておきましょう。
等級が変わるタイミングや期間は?
等級は契約の更新日に切り替わります。事故をした場合はすぐに等級が下がるのではなく、翌年の更新時に等級が下がることになります。
上がる場合も同様に翌年の契約更新日に等級が変わります。「保険に加入してから1年ごとに事故の有無によって等級が変わる」と覚えておくといいでしょう。
ただし途中で保険会社を変更する場合、契約途中で無事故期間があったとしても、等級を上げるには新しい契約から1年間無事故である必要があるため等級アップが先延ばしになってしまいます。
また、事故をした場合でも乗り換え時に事故歴を引き継がなければなりません。過去に事故があった場合は必ず申告しなければならない義務があります。
保険料を下げるには安全運転を心がけることが大切
事故をして保険を使うと保険料が大幅に上がり、毎月の負担がどうしても増えてしまいます。お得に自動車保険を掛けるためには安全運転をして事故をしないことが重要なポイントです。
事故をすれば保険料が高くなることはもちろん、保険によっては契約の更新を拒否されることもあるので注意しておきましょう。
事故の内容によっては保険を使わずに自分で修理費などを支払ったほうがお得になる場合もあります。特に1等級ダウンの事故の場合は修理費用がそこまで高くなければ保険を利用せず自分で支払ってしまったほうが割安になる場合が多いようです。保険を使うのか自費で支払うのかは保険会社の担当者に相談して決めるといいでしょう。